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 谷川俊太郎さんに「●(巨きなピリオド)」という詩がある。草野心平の死を悼み、1988年11月28日の告別 式の席で弔辞として読まれた。権威に縛られず、ただ生き物を愛して自由に生きた心平の魂に捧げる、美しいオマージュだった。そこには、少年の心を持った同士でなければわからない、言葉と心の交歓があった。
 心平の『第百階級』のなかに「冬眠」という詩がある。題名のあとに直径五ミリほどの黒い丸がひとつだけある作品。その黒い丸について、谷川さんはこう書いた。
 「その一個の黒い丸は、みつめ始めると底無しに深く大きくもなってくる。それはほとんどひとつの宇宙だと言ってもいい。草野さんの人生が凝縮されている」
 そして「●」を「巨きなピリオド」と読むことに決めたのだった。
 いわき芸術文化交流館アリオスの開館記念式典で谷川さんは、「アリオスに寄せて」という思いを込めた四篇の自作の詩を朗読した。

  ハコのなかで ひとはうたう
  ハコのなかで ひとはかたる
  ハコのなかで ひとはおどる
  ハコのなかは そととはちがう
  わくわくどきどきはらはらさせる
  ハコはいきて こきゅうしている
          ―「ハコのうた」より

 そのとき、何年前だったか、いまアリオスになっている平市民会館で、谷川さんが読んだ「●巨きなピリオド」と重なったような気がした。

  ミスタア・クサアノ
  本格的に
   ●
  始めたミスタア・クサアノ
  「文化なんてなくたっていいじゃないか」
  とあなたは言って
   (中略)
  僕もいつか
   死んだら死んだで生きてゆきます


 180億円の巨費を投じてアリオスが8日、一次オープンした。市民の心が「いきて こきゅうしている」ハコになることを願っている。



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