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 わたしのところはずいぶん前から、地域の人間と家族で、在宅医療と介護をやってきました。デイサービス、往診、それにヘルパーさん。しかし介護保険が入ってきてから、特養(特別養護老人ホーム)や老健施設(老人保健施設)、グループホームなどへの入所が多くなり、自宅で療養するお年寄りは少なくなってきました。
 根本的には場当たり的な厚労省の失敗で、高齢化のなかでこういう時代が来ることはわかっていたのに、つぎはぎの対応になっています。介護保険によって行政の福祉サービスだったものも民間に丸投げされ、民間の商業主義のなかで質の悪いサービスが入ってきました。そしてお年寄りの意志とは無関係に、家族が施設への申し込みをしています。行政がもっとサービスの質の向上のために、本腰を入れる必要があります。

 医師不足になっている医療もそう。行政はなあなあでやればいいのではありません。市民を守らなければという意識が、議会を含めて低いような気がします。市民の意識はどう反映されているのでしょう。市長や議会が独自の考えを持って、医師会と対応していくことが大事だと思います。命にかかわる問題だから、待ったなしなのです。市民は大きな声を出していくべきだし、市長は責任を果たすべきです。
 昔の地域の開業医は内科だって、小児科だって、お産だって、それに外科の切ったはっただって診る何でも屋でした。夜だから、日曜日だから休みたいと思っても、「病気に休みはない」と患者さんに言われました。かかりつけであれば、夜、夜中でも診察し、自宅で看取りました。病院とのタイアップもうまくいっていました。地域の医療は行政ではなく、開業医が支えてきたのです。
 いまの時代、地方分権は大事なことです。中央集権下ではまず予算があって、それを地方にちびちび与え、高齢化社会のなかで開業医にも回ってきています。医師会には権力と組んで収入を増やさなければという考えがありますが、医者本人が当事者意識を持って、医療崩壊に歯止めをかけるために、地域のなかで連携していかなければなりません。  例えば、救急車の世話になる前にかかりつけ医が診たり、電話で相談にのるだけでも違います。意識のある医者たちが当事者意識を持ち、協力・分担していけばいいのです。
 いま、頭を悩ませているのは安楽死を含めたターミナルケアの問題。延命措置ばかりして、命を延ばせばいいということではありません。施設に入っているお年寄りの看取りは、契約した医者が担います。安らかに眠るような死がいつきてもいいような医療、福祉がなければ安心できないし、生きている甲斐がありません。

 医者は患者のためにあり、市長は市民の幸せのためにあります。もう少し腰を据えて取り組まないと。そして市民は医療関係者と議会に働きかけて、一緒に告発するというグループを持たないと大変です。長いものに巻かれろの意識は裁ち切り、告発、啓発するような機会を持つ。命にかかわることだけに、おざなりにしてはいけません。



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