高校時代、なぜか野球部の友だちが多かった。暇さえあれば野球の試合を観に行き、気がついたときには私設マネージャーのような存在になっていた。練習試合までついて行く風変わりな男子生徒を、監督も部長も見て見ぬ
ふりをしていた。大目に見てくれていたのである。
そして野球部は2年秋の新人戦で地区を制し、会津で行われた県大会でも決勝に進出した。相手は双葉高校。1点リードされた最終回、二死ながら三塁に同点の走者を置いていた。何球目だったか、相手バッテリーがボールを後ろにそらした。それを見て三塁走者がホームに駆け込んだが、ボールがコンクリートの壁で跳ね返り、捕手のミットにすっぽり収まった。本塁憤死でゲームセットとなった。
そして最後の夏。その日は終業式だった。初戦の相手は安積商で、場所は郡山の日和田球場。延長の末にサヨナラ負けを喫した。次の日から夏休みで、そこを突破すれば試合を観に行くはずだった。悪夢のような敗戦だった。
第90回全国高校野球選手権福島大会が、県内から91校が参加して開幕した。夏が来るたびに、観にいけないまま敗れてしまった高校3年のときのことを思い出す。あのとき、選手たちはどんな思いで帰ってきたのか。そう考えると、今でも心が痛む。
どうしてこんなに高校野球に惹かれるのか。それは、まだかろうじて高校生活の延長に選手たちがいるからだろう。野球部は特別ではない。まして選手たちはスターでもヒーローでもない。ちょっと野球が好きでうまいだけの、ごく普通の高校生なのだ。だから勘違いさせてはいけないし、勘違いしてもいけない。
決勝は23日。昨年甲子園を制した佐賀北のような静かで屈託のないチームが、いわきから出てくることを、切に願っている。
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