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タカノマサアキ・文 大野 和夫・絵

その6 
 “ゴロゴロ、ゴロゴロ…”
 夏の森には、しょっちゅうカミナリが遊びに来ます。アーちゃんはこのカミナリが大キライ!
 “ピカッ! ゴロゴロ”
 お父さんの大きな背中にしがみついて、恐くて動けません。
 雨も降り出して来たので、お父さんはアーちゃんをおぶったまま、急いでかわかしておいた作品をとりこみ始めました。
 「あれ? このにおい…」
 夏のお日様でカラカラに乾いた地面は、雨が落ちて土ぼこりが舞い上がっています。
 「このほこりのにおい? なんだかこの感じは前にもあったような…」
 お父さんの広い背中と、このにおい。
 夏の夕方はこの感じ…。
 アーちゃんがもっと小さかった時から変わらない、いつもの夏。おんぶしてもらって涼しい森の中を散歩した夏。お昼寝から目がさめると、山もりにゆであがっていたトウモロコシのにおい。カナカナ、カナカナ、ひぐらしの声。夕立のあとのきれいな虹。そして土ぼこりのにおい。いつもの夏のにおい。
 ことしの夏は暑くなかったけれど、いつものようにこの森にも夏は来ていました。
 アーちゃんはいつの間にか、この小さなカラダぜんぶでそれを感じていたのです。


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