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 平の白銀に不思議な中華料理店がある。一口で言えば、店主こだわりの店。赤やオレンジという中華のイメージは排され、色合いはシックな焦げ茶を中心にグリーン、白など西洋アンティーク調。バックには有線のジャズがかかっている。店の名前を「味希」という。
 店主は松本基意さん、51歳。高校卒業後、横浜中華街の「新興」という有名な店で四年間修業し、中国へ渡った。さらに北京のレストランで2年間勉強し、料理の幅を広げた。その後、いわきに戻って、地元の店に少し勤め、間もなく店を開いた。「味希」とは「お客さんが希望する味を出すことを念頭に置いて」と、京都のお坊さんがつけてくれた。26年目だという。

 松本さんのこだわりぶりは徹底している。それは、店の内装や調度品だけでなく料理にも現れている。横浜、北京という本場で中華料理のなんたるかを学んだからこそ、できる自信とも言えた。
 「本場の中華料理の特徴は油と匂い。それを持ち込んでも、日本人には合わない。あくまで日本人、いわき人のための料理を作らないと。料理の精神さえきちんとしていればそれでいいと思う。要は、いかにうまいと感じててもらえるか」
 それが松本さんのポリシーだ。

 西洋アンティーク好きが高じて中学生のときにイギリス旅行をし、あちこち見て回ったというだけに、ものや素材に対するこだわりはひと1倍強い。だから「安ければ何でもいい」という現代の風潮に警鐘を鳴らす。「いいものはそれなりの値段がする。そうでなければ、価値そのものがわからなくなってしまう。本物を見たり食べたりしないとだめだよね。偽物ばかりに接していると、本物がわからなくなっちゃう」と嘆く。
 昼は、担々麺、五目焼きそば、飲茶など大衆的な料理も出すが、食べてもらいたいのは「おまかせコース」。前菜、蒸し物、炒め物、煮物、おかゆ、デザートと出る。その一品一品が実にきれいで、うまい。「夢を与える商売だから」というのもうなずける。

 「夢?そうだなぁ、会員制の料理会みたいなものを開きたいねぇ。そのかわり最低でも1万円ぐらいは必要だよ。そうすれば、ある程度のものは出せる。いい食材も用意できる。中華料理というと、エビチリソースか麻婆豆腐ではねぇ。酒はそんなに飲まないで料理を楽しむような、そんな会がいいな」と苦笑いをした。
 「味希」のたたずまいは洋風のせいか、喫茶店と間違えてすましてコーヒーを注文する人もいるそうで、店内に油の匂いを漂わせたり、食器や容器をべたつかせないのが松本さんの美学。そうしたこだわりを愛して、作家の伊集院静さん(仙台在住)などが常連として訪れることが多い。

 
おまかせコース
 昼は3500円、夜は4000円から。松本さんによると、料理として食べたいのなら5000円から。酒は台湾製の高級紹興酒が用意されており、季節によって料理が変わる。また、同じ料理を出さないのがモットーで、「嫌いなものがあればいってほしい」とも。電話は21-4144
 




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