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リューバのメッセージ

 マイナス18度のガラスケースのなかに横たわっている。体長が約120センチ、体重は50キロほど。薄目をあけて様子を伺っているような、夢を見て笑っているような。一目見たとき、子象のダンボに思えたけれど、耳が小さすぎる。前足には長い毛が少し残っている。そんな凍結マンモスの雌の赤ちゃんに会った。
 名前はリューバ。昨年五月に、ロシア・西シベリアの永久凍土から見つかった。約3万7千年前のものと推定され、愛・地球博で公開されたユカギル・マンモスの倍ぐらい時間は遡る。ユカギル・マンモスは頭部と前足だけだったが、リューバはしっぽが短いほかは、全身がほぼ無傷で発見された。
 東京慈恵会医科大学で凍結されたままCTスキャンを受けるために来日し、新年から2月3日まで丸の内ビルディング1階で、数万枚もの断層画像のデータを基に骨格や内臓を再現した3次元画像とともに、ケース越しにたくさんの人と会っている。立ち止まることはできない。その姿を目に焼きつけるように凝視しながら、ゆっくり進む。「21世紀にようこそ」。ケースの前で伝えた。
 リューバの画像解析をしている慈恵医大教授の鈴木直樹さんは「リューバは過去でなく、未来からやってきた」と代弁している。地球温暖化による大規模な氷山、氷河、永久凍土の融解がなければ、リューバが人間と出会うのはもっと先の未来だった。
 なぜ、いま現れたのか。3万7千年の時を経て、未来からの使者は黙って、やさしく微笑む。
 
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