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久しぶりの調律

 暮れも押迫った昨年の仕事納めのころ、かなり久しぶりに自宅のピアノを調律した。
 冬休みに、妹が楽譜を抱えて帰郷し「休みの間に、全曲弾けるようにしなくちゃ」と、練習を始めたのがきっかけだった。押しても下がらない鍵盤や、音の出ない鍵盤があって、思うように練習ができない。
 年に1度していた調律をどれくらい怠っていたかわからず、音もかなり狂っていた。時々ふと、調律を頼まなくちゃ、と思うことはあったが、何となく恐ろしくて、ついそのままにしていた。
 この暮れに申し訳ないと思いながら、背に腹は替えられず、調律師さんに「何とか来ていただきたい」とお願いした。痛い出費を覚悟して。
 翌日、調律師さんは来てくれた。風通しがいい所に置いているせいか、思っていたほどピアノの状態は悪くなかった。調律師さんの言葉を借りれば「傾きかけた家のような感じ」という。調律によって、その傾きをぐっぐっぐっと戻した。
 小学1年生の時、欲しくて買ってもらったピアノだった。作業を終えた調律師さんは「処分してまた弾きたくなったら、数十万円で中古のピアノを買うこともできます。でも思い出がたくさん詰まったこのピアノを大事に弾いてほしい」と話した。そして半年後、梅雨の時期にもう1度、調律するように、とアドバイスしてくれた。
 冬休みの間、わが家はピアノ騒音に悩まされたが、その後、再びピアノは無言のまま。そろそろ指ならしでもしなくては。調律師さんの言葉がよぎる。
 
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