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金子晴美さんのスキャット

 20人以上はいたと思う。でも少なすぎる。「どうしてだろう」という思いがよぎった。先月29日にバー・クイーンで行われた、ジャズ・ボサノバ歌手・金子晴美さんのライブ。でも金子さんは「気にしない、気にしない」とでも言うように思いっきりスイングした。実にいいライブだった。
 クイーンのオーナー・加藤功さんがライブにこだわり続けるのは「生の感覚、臨場感を知ってもらいたいから」だと言う。アナログからデジタルへ。時代が皮膚感覚、対面 式から無味乾燥なもの、間接式に移行している。サブプライムローン問題が象徴するように、実体ではなく幻想に踊らされ、社会が病んでいく。だからこそ、確かなもの、体や魂の反応を大切にしたいと思う。
 ウッドベースとピアノの掛け合い、美しい発音と少ししわがれている金子さんのキュートな声。そこには、その場、その時でしか体験できない心の響き合い、ライブならではの一体感があった。
 金子さんは次から次へと好きな歌を歌い、全身でジャズやボサノバを表現した。サザンオールスターズの曲をカヴァーして評判を呼んだ「スペシャルメニュー」のなかから「いとしのエリー」を歌い、学生時代にコピーしたというエラ・フィッツジェラルドの曲を心をこめて歌った。そして会場の心からのアンコールには「サニーサイド・オブ・ストリート」「ラブ・ミー・テンダー」…。
 となりの見ず知らずの男性が言った。「よかったですよね」。その夜の金子晴美のスキャットとピアノとベースの小粋な音色は、しっかりと体に刻み込まれた。
 「アンコール!」。
 
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(昌)




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