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20年ぶりの再会
その夜はスキップ心地だった。「難しく考えず、ハートで弾いて、音楽を感じて。音楽は楽しい」。ステージからリチャード・クレイダーマンのメッセージが伝わってきた。そのままアパートに帰るのはもったいなくて、友人と国分町のワインバーに寄り道した。もう20年も前のことだ。
高校時代からファンだった。あのころ、リチャードファンはクラスにたくさんいて、出版されたばかりの自叙伝を読み、なんだかんだと騒いでいた。もちろん、自宅のピアノのそばにはリチャードのパネルを飾り、「愛のコンチェルト」や「秋のささやき」を弾き、LPを繰り返し聞いた。
クレイダーマンはコンセルバトワールで学び、ルービンシュタインようなピアニストを目指していた。しかし経済的なこともあってポピュラーに転向し、「渚のアデリーヌ」で一躍脚光を浴びた。ハートのある音楽、きれいに動く指、ピアノの貴公子と呼ばれる容姿。世界中に大勢のファンがいた。
あのころ1番気に入っていたLPは、クラシックばかり集めた「Rhapsody」。ベートーヴェン、モーツァルト、ラフマニノフ、チャイコフスキー。聞きながら夢みる学生は「夢はかなうものだよ」と、クラシックをやりたかったリチャードの思いを感じた。
今年でデビュー30年。1週間ほど前、アリオスでコンサートが開かれた。演出されすぎたステージは、以前ほど音楽の楽しさや自由さの風が吹いていなかったし、パーカッションとのジョイントも違和感があったが、あのころ聞いていた曲は深みを増し、合間にぽろぽろ途中までソロで弾いたドビッシーの「月の光」は印象的だった。
54歳になったリチャード。コンサートポスターには年の重なりを感じていたが、実物はハンサムで、やっぱりステキで、指も美しかった。それにしても、おばさまファンの何て多いこと。
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