締め切りピークの日、乱雑に散らかった編集室にトオルさんが来た。何となく雰囲気が俳優の筒井道隆に似ている。とても凝り性で、このところは風水という。 男が使う机は北向きがいいなどと風水パワーを語り、「教会の尖塔のようなものが窓から見えるのはよくない」と言う。「じゃ、あれは」と指さすと「あららら。こういう時は植物で隠すんです」と教えてくれた。 帰り際、トオルさんは窓からじっと風景を見て「植物です。植物です」とつぶやき、階段を降りて行った。