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イラスト 若松 光一郎  
 中西 宏文

 私はIT産業の端くれで仕事をしている。10年前はいざしらず今は最先端でも、流行の業界でもない。むしろ最近は3K業界などと呼ばれてあまり人気がない。
 しかし、会社が楽しくてしょうがない。もともと、技術屋なので新技術との出会いや工夫が面 白いという面も当然あるが、それよりもこんなサービスをつくったらどうかとか、こんな提案は顧客にうけるのではないか、といったアイディアを考えるのが楽しい。おやじが少年のように「空想」をめぐらしてワクワクしているのだ。

 日々の新聞の編集者も実に楽しんで(?)仕事をしているのではないか。豊富な取材源、多彩 な切り口、美しいレイアウト、そして営利に引きずられない編集方針、実に見事な仕事ぶりだと思う。しかし、彼らのほんとうの仕事は新聞を発行することなどではなく、いわきを育て輝かさせること、それが究極の目的だろう。

 歴史を掘り起こし、識者の意見を拾い集め、「先人たちの成功体験から学ぼう」「みんなの知恵と汗で感動を生み出そう」という編集者の思いや主張が毎号満ちている。
 いわきは発展途中の将来性のあふれる街だ。全国有数の広い市域を興していくのは並大抵のことではない。しかし、子供が母親の慈愛の中ですくすくと育つように、街も市民によって創られる。

 日々の新聞のこれまでの5年間は慈愛に満ちた市民の発掘だった。読者にいわきへの愛着を再認識させる触媒の役割だった。

 「空想」を空想で終わらせず現実のものにするためには「空想」をやめないことだ。いくつもいくつも実行してみるしかないのだ。十回いや百回に一回は大当たりがあるだろう。しかし、大当たりだけをねらってはいけない。小さな小さな「成功」を毎日積み重ねることが重要だと思う。

 人の営みに高い価値を見いだす編集者は、更に濃厚にいわき人の物語を掲載するのだろうか、それとも人々の連携そのものを企てるのだろうか。これからの5年間、さらにその先の日々の新聞の積み重ねが何を生み出すのかますます楽しみである。
(会社員)

 「この新聞はどうしてこんなに田町のことを扱うんだい?」―読者からの素朴な疑問です。その問いに答えてくれた読者がいました。「何もしなければすべては忘れられ、この世から姿を消す。だから取材をして記録しておく。それが、この新聞なんだよ」。
 さほど熱くないお湯でゆでられ、少しずつ温度を上げられたカエルのように、地域や価値観の崩壊は音を立てずにやってきて、首を絞めていきます。そして気づいたときには手遅れになっています。医療問題などはその典型でしょう。「いまを伝える」ということは、まず歴史を学んで、いまの姿がきちんと見えるようにする必要があります。それは「歴史から何を学び、どう生かすか」ということにも通 じます。いわきの良さとは何なのか。社会現象に惑わされていないか。それを見極めていきたいと思っています。 

(編集人 安竜昌弘)



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