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イラスト 若松 光一郎  
 磯上 知予子

 慶応4年(1868)7月13日、平城下ではあちこちから火の手が上がり、銃声が響いていた。世に言う戊辰の役である。薩摩藩らによる新政府軍の攻撃は磐城平藩ら旧幕府軍を次第に圧倒、平は落城していった。
 平城の本丸跡に売却話が出ているという。落城後、城に関するほとんどの土地や建物が明治新政府によって民間に払い下げられる中、所有者の善意により、奇跡的に残されていたあの場所。以前は気軽に立ち寄る事ができ、殿様気分で平の街を眺めたり、寄り添う高校生カップルをうらやましく思ったものだ。
 歴史的価値から見ても街のシンボルとしても、売却話が真実であれば市が購入すべきとの意見に同感だ。「平にばかり資本投下できない」との声もあったが、それは違う。そもそも江戸時代の初め、鳥居忠政が治めた平藩は現在のいわき市の大部分を占めていた。次の内藤家時代、旧領内には泉や湯長谷、窪田藩が分家などによってできていくが、これらは同族であり、繋がりがあって平はいわきの中心として栄えていた。それが切れ、地域間の垣根が生じていくのは、次の藩主井上家の頃からと考えられている。
 一昨年の夏、市内では最後の平藩主安藤家の時代を紹介した企画展が催され、盛況を博した。初めて知る内容に市民が目を見張った。落城から140年の今年。史実に触れ、足元から学ぶ。そんな場所を大切にする事こそが、市民1人ひとりの誇りへと繋がっていくのではないだろうか。


 縄文魂の新妻好正さんの取材は時間を忘れてしまうほど、楽しいひとときでした。寺山修司の著書やポスター、パンフレットに囲まれ、あの時代のことをあれやこれやと話しました。そんななか、新妻さんがいまの時代の無機質さについて話していたことが妙に心に残りました。それはプラスチックの肌触りかもしれません。
 ただ救いもありました。「ラヂオドール」の明智香代子さんも言っていたのですが、若い世代が60〜70年代の音楽や文学を好み、積極的に触れて評価していることです。それは団塊ジュニアの先祖返り現象と言えなくもないのですが、この刹那的な時代にあって、当時の文化を通 して熱のようなものを感じてもらえたらとは思います。そして、自分たちのオリジナルを創りあげることを願っています。

 「駈けてきてふいにとまればわれをこえてゆく風たちの時を呼ぶこえ」
 寺山修司の短歌です。

(編集人 安竜昌弘)



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