
和紙による抽象のコラージュで一時代を築いた故若松光一郎さん(平成7年没)が昭和23年に制作した80号の油絵が、平字旧城跡の若松家で見つかった。褐色をベースとしたその絵は、坑道から出てきた鉱夫たちの姿がリアリティーにあふれる姿で描かれており、高いデッサン力を証明する質の高い作品に仕上がっている。カンバスに張られず、何10年にもわたって丸まった状態になっていたが、質のいい布と絵の具を使っていたためか、ほとんど傷んでいない。妻の紀志子さんは「初めて見た。これだけ人をリアルに描いている作品は珍しい。仕事を終えた重い足取りがよく表現されていると思う」と話している。
この作品が制作されたころ、若松さんは常磐湯本町に住んでいた。終戦後の物資のない時代だったが、質や物にこだわる若松さんはフランス製の絵の具やカンバスを使い、制作していた。今回見つかった作品の左隅には「mitsu1948」とサインがあるだけで、題名などは書かれていない。
紀志子さんは、今回、絵と音楽を気軽に楽しんでもらうための私的空間「アートスペース
エリコーナ」を平字大町に建設、光一郎さんの作品を自宅からエリコーナに運ぼうとして引っ越しをしている最中に、絵が発見された。
エリコーナは、100人が入る音楽スペースとギャラリーを兼ね備えた施設で、4月オープン。4月22日から5月5日までは、「若松光一郎のあゆみ展」を開催、そこに今回の作品が展示される。