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竜のひげの茂みのなかは静かで
藍の実はひつそりとしてをりました
五つ六つ掌にのせて
えんがはで遊びました
ころころところがせば
ころころところがつて
とまりました
また一つ
ころころところがせば
ころころところがつて
とまりました
冬の日は障子にあたり
睡くなつてゆきました
「幼い日の思ひ出」と題する天平の詩。それぞれの幼いころの情景が浮かぶ。作曲家の川口晃さんにとってもそうだった。生まれ故郷・宮崎の実家にあった竜のひげがキーワードとしてひっかかった。その情景的な詩に魅せられ、曲をつけた。そして、天平・詩、川口晃さん・作曲の「幼い日の思ひ出」は中学校の教科書に載り、多くの人たちに歌われることになる。
「竜のひげ」「藍の実」「えんがわ」「冬の日」「障子」…。この詩からは、かつて旧家だった天平の生家での一人遊びの様子が情景として浮かび上がってくる。
小さな火おこしに火を入れて
こち こち
柿の木のしたで
僕のお鍋をなほしてゐる
こち こち
いかけやさん
僕と敏君としやがんで見てゐる
これは「蔵のよこ」という詩。母屋と隠居所と蔵、そして庭。幼い天平にとって、その敷地内は、どれだけ楽しいワンダーランドだったのか、がよくわかる。そうした上小川での生活が、天平に自然と向き合う心を育ませた。
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