オンブズマン

 紙面を読んで From Ombudsman417号 

 

画・松本 令子

 藁谷 和子

 吉田 静江

 令和2年7月7日。すっくと伸びた浜木綿の花茎が潮風に揺れている。百合に似た純白の花々だ。ここは折戸。編集人の安竜昌弘さんとは目と鼻の先に住む。空間を共有している。そのせいか「巨浪一點」「風の通る家」「編集室から」など、身辺雑記や雑感の比較的多いコラムからは特に筆者が見える。本物を感じる。
 「現場主義を貫き、市井の人々の視点で地方から中央を見る」という創刊時の理念が現在も脈々と息づいている。独自の視座と卓越した取材力、豊かで的確な表現力で対象に迫る。課題と思えるものから目を逸らすことなく検証し、読者の私たちに問いかけてくる。
 おもねない。こびない。へつらわない。しかし尊大ではない。対象に注がれる眼差しは慎しく・優しく、温かい。その姿を私は「品格」と呼ぶ。それらを持ち合わせているのが「日々の新聞だ」。
 私ごとになるが、かかわっていた活動を一つ二つと最近整理したら、時間に少しゆとりが生まれた。この機に新しいサークルに仲間入りした。「古典を読む会」だ。参加してまだ1年にも満たない。
 現在の教材は「万葉集」である。これに呼応するかのように、コケの研究で学位を取得された湯澤陽一先生の連載が始まった。私にとっては絶妙のタイミングだ。
 テーマは「阿武隈山地の万葉植物」。文章は平易だが奥が深い。2年ほど続く予定だという。楽しみが増えた。
 ちなみに、いわきに万葉集ゆかりの歌碑がある。石森山の頂近くだ。

 筑紫なるにほふ児ゆゑにみちのくの
 可刀利をとめの結びし紐とく

 「可刀利」は「片依」。「片寄」のことであろう、との説で建てられたらしい。この説は平安時代の「和名抄」に見える「片寄郷」からきているそうだが、真偽のほどは不明だという。

(いわき市折戸在住)

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