020回 星に願いを

大越 章子

 

画・松本 令子

大きな夢がかないますように

星に願いを

 「天気が気になる日」ベスト3のなかに、いつも7月7日が入っている。梅雨の時期だからたいてい曇りなのだが、天気占いでもするようにその日は度々空を見上げる。
 天の川にこの夜、かかるというカササギの橋が気になる。たくさんのカササギがどこからともなく飛んできて、つばさを広げてつくる橋。カササギといっても青鷺のことで、背が青く、くちばしや足の長い鳥がつながった姿を想像する。
 その1カ月後、平のまちで七夕まつりが行われる。駅前の30メートル道路沿いの七十七銀行で吹き流しを飾ったのが始まりだから、仙台由来といえるまつり。いまは趣が変わってしまったけれど、子どものころ、七夕まつりは夏休みの折り返し地点の一大イベントだった。
 本町通り、銀座通り、30メートル通りに飾られた吹き流しのなかを泳ぐように歩き、音楽に合わせて躍り、ストーリーが繰り広げられる仕掛け飾りの前ではしっかり足を止めて眺めた。合間にお気に入りの出店を見つけ、ひと休みはソーダー水かフルーツパフェ。エネルギーを蓄えて、また通 りを歩き始める。
 平の七夕はかつて、まちも人々も楽しみ、エネルギッシュだった。途中、プラネタリウムで星物語と音楽の世界に浸り、帰り道はこと座のベガ(おりひめ座)とわし座のアルタイル(ひこ星)、白鳥座のデネブの夏の大三角形を探した。

 今年の七夕まつりが終わった翌日、2週間の宇宙での活動を終えた宇宙飛行士の野口聡一さんがディスカバリーで地球に帰ってきた。宇宙飛行のあらゆる瞬間を野口さんは堪能し、「大きな夢はかなうまでに時間がかかることもある」と、日本の子どもたちにメッセージを送った。
 人間と宇宙の距離は縮まっても、きっと七夕の物語、笹飾りを楽しむ人々の気持ちは変わらない。短冊に、星に願う。大きな夢が、かないますように。   
 

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