483号

      メトロノーム 街の魅力の低下

      他力本願から脱皮する覚悟を持つ

 いわき駅前を中心とする平市街地でテナント争奪合戦が繰り広げられている。ラトブ、駅ビルの「S-PAL」、ヨーカドー跡地、並木通り再開発。かつてミスタードーナツがあった場所も空き店舗のままで、「地方の中心市街地の悲哀」をまざまざと見せつけられる状況が続いている。
 「前よりよくなればいいのだけれども、どんどん魅力が下がっている」という消費者が多い。平に限らずイオンモールがある小名浜もそうで、人は集まっているが外には流れず、客がモールで完結してしまう。小名浜美食ホテルも閑散としていて、よつくら道の駅の賑わいぶりと比べると寂しい限りだ。さらに追い打ちをかけるようにヨークタウンアクロスプラザ大原(旧スーパーセンター大原)が老朽化のため解体されることになった。
 そして、いわき駅前。ラトブは一階の一二三屋が抜けたままで、三階の無印良品もヨーカドー跡に移る。ラトブの一階は直営にする予定で準備を進めているのだが、このところ商業施設の空きが目立ち、無印良品が出たあとも見通しが立っていない。駅ビル「S-PAL」もウナギの寝床のように細長く、テナント的にも魅力に乏しいという声が多い。では、どうしたらいいのか―。
 県外のさまざまな都市の状況に詳しい識者に聞いてみると「例えば、東北六県と神奈川県の人口がほぼ同じ。ましていわきはマーケティング的な見方をすると、数字的にリスクを背負うことになる。彼らの物差しに引っかからない。だから出店を要請しても、けんもほろろ。どうしても出て、という場合には補償金を積む必要が出てくる。原発事故の影響もまだ引きずっていて社員が来たがらないらしい」と話す。
 中心市街地の活性化を図るには、どうすればいいのか。平日に限ると、イオンモールより、平の中心から2㎞圏内の方が人が多い、というデータがある。それを消費につなげるには何が必要なのか。「中心市街地に人を集中させる必要がある。新潟の長岡市は市役所を中心市街地につくった。最低限の社会資本(駐車場と道路)、さらにホワイトカラーの雇用を創出すれば生鮮品が売れ、歓楽街も賑わうはず。地方都市では行政が一番手っ取り早い」とも。
 いわきの特徴としては、新しもの好き、熱しやすく冷めやすい、先進地(東京)後追い体質、などがあげられる。それは基幹産業が石炭と漁業だったため他力本願が続いてきたことも無縁ではない。商売は風まかせ、消費者も飽きっぽい。これでは交流人口など望むべくもない。昔から「人が悪いはいわきの平」と揶揄されてきた。この辺で、ベルトを締め直してみんなで手を結び、「誇れるまち」「何回も行きたいまち」、さらに「リスクを負っても商売がしてみたいまち」にしていかなければならない。