
地域探究の発表会 | 424号 |
磐城高校の2年生の「地域探究」をテーマにした発表会が10月中旬に行われた。震災と原発事故による浜通りの新たな産業づくりのプロジェクトの1つで、人づくりを目的にしている。磐城高校はこの春から2年生を対象に取り組み始めた。
地域探究とは、つくりたい地域・社会の未来を考え、そのための課題を探り、解決策を研究する。テーマは自分が興味のある地域・社会の課題。生徒がそれぞれ設定する過程で自身と地域・社会を意識して見つめる。
コロナ禍で春に2カ月ほど休校したのでスタートが遅れ、時間を押しての調査・研究になった。9月にクラス発表で代表を選び、10月は体育館での発表会。その審査員の1人として、七クラスの代表者たちの発表を聞いた。
テーマはさまざま。地域や国による学力差や、ルッキズムと自己肯定感というのもあった。目を引かれたのは「原発事故の風評被害をなくすためにはどうしたらよいか」。原発事故の時に小学1年生だった生徒がこの10年をどう見つめ、個人的にはこの事故で風評被害の言葉は使わないが、風評被害をどう捉え、どうすべきと考えるのか、興味があった。それに原発事故をテーマにするのは勇気がいったことだと思う。
発表を聞いていて、とても優秀な生徒なのがよくわかった。パワーポイントもわかりやすくまとめられて、説明する姿勢も申し分ない。質問には直球で答えが返ってくる。けれど、その生徒を大賞に選ばなかった。枠を飛び越え、悪戦苦闘しながらさらに視野を広げてほしかったからだ。
もっと足を使って現地に立ち、自分の目で見て聞いて、肌で感じて、なにを思い考えるのか。数十年後、どんな大人になっているのか、楽しみにしている。
(章)
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