鶴岡の海岸線 | 486号 |
この土、日曜に用事があって山形の鶴岡に出かけた。鶴岡にはこれまで4、5回行っているが、東北道の福島ジャンクションから初めて東北中央道を利用し、9㎞の長い栗子トンネルを通って向かった。途中、何度かの休憩と昼食をとり、目的地まで五時間近くかかった。
急に行くことになったので宿泊はあつみ温泉と湯野浜温泉の選択になり、風情ある温泉街のそぞろ歩きが楽しめるあつみ温泉に宿をとった。用事は出かけた日に済ませ、翌日は宿で入場券をもらった加茂水族館などを巡った。
水族館まで海沿いの道路を走って30分。塩俵を積み重ねたような奇岩群や由良海岸の白山島と朱塗りの長い橋を眺めたりしたが、ほとんど構造物の隔たりのない、間近に見える海が新鮮だった。
少し前、5月の連休には十二年を経てようやく、宮城と岩手の海岸沿いを訪ねた。高速を奥松島で降りて野蒜、石巻、南三陸、気仙沼、陸前高田、大船渡…と少なくとも宮古まで行けたらと考えていた。
しかし行きたい場所が多くあったのと、二、三日目の宿が海岸沿いにとれず内陸になってしまい、さらに1日目の夜に大槌町の港に熊が出没しどこかに逃げ込んでいる模様というニュースが流れたため、釜石から北は次に行くことにした。
海岸沿いを訪ねて感じたことはいろいろあるが、いわきで見慣れたはずなのに、行く先々、巨大な防波堤の壁に目を見張った。ゲートのようになっている場所も多く、近づいて見上げてその巨大さを実感し、また高台から眺めても壁が続いている状況が一目でわかった。
当然のことながら、壁は美しいリアス式の小さな入江にまで造られている。名前に誘われて寄り道した「大理石海岸」もそうで、高く厚いゲートをくぐらないと海岸に行けない。名前の通り一帯は大理石の岩礁が連なり、紺碧の海と大理石、青い空のコントラストが美しかった。
命を守ることが最優先だが、鶴岡の海岸線に懐かしさを感じたことに驚いた
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