509号

寅子が歌う「モン・パパ」 509号

 うちのパパとうちのママと並んだとき
 大きくて立派なのはママ
 うちのパパとうちのママと喧嘩して
 大きな声で怒鳴るのはいつもママ
 いやな声で謝るのはいつもパパ
 うちのパパ 毎晩遅い
 うちのママ ヒステリー
 暴れて怒鳴るのは いつもママ
 はげ頭下げるのは いつもパパ
 でたらめ言う それはパパ
 胸ぐらを取る それはママ
 パパの体は揺れる揺れる
 クルクルと回される

 このところNHKの朝ドラ「虎に翼」の主人公の猪爪寅子がドラマのなかで時々歌う「モン・パパ」が頭のなかをぐるぐる回っていて、不意に口ずさんでいる。寅子が最初に歌ったのは兄の直道と親友の花江の結婚式で、父の直言に促されて余興で歌った。
 「明律大学女子部法科に進学したい」と、母のはるに言えずにいた寅子が花江に「式が終わるまでおとなしくしていて」と釘をさされ「なんで、女だけこんなに面倒なんだ」と、怒りをこめて熱唱したのだった。
 わたしにとって「うちのパパとうちのママが並んだとき」の歌は、30年ほど前にフジテレビ系で放送していた子ども向けの番組「ポンキッキーズ」で山田のぼるさんが歌っていた「うちのパパとママとぼく」で、番組のオリジナル曲と思っていた。
 しかし調べてみると、寅子が歌っているのは、榎本健一と二村定一が一緒に歌い昭和7年にヒットした「モン・パパ」だった。前年、歌詞は途中から違っているが、宝塚少女歌劇団が「ローズ・パリ」の舞台で歌っている。もともとは1930年にフランスで公開された映画「巴里っ子」でジョルジュ・ミルトンが歌ったシャンソン。日本でも翌年、公開された。
 久しぶりにポンキッキーズのCDを取り出して「うちのパパとママとぼく」を聞いた。エノケンたちから60年を経ているので、歌詞はずいぶん変わっている。CDには斉藤和義さんの「歩いて帰ろう」や山下達郎さんの「パレード」なども入っていて、しばらく聞き入ってしまった。

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