第411号

 特集 トリチウム汚染水再考

海や大気に処分することに賛成ですか。それとも反対ですか。

 東京電力の福島第一原発のトリチウムを含む汚染水の処分について、国は4月6日、福島市で意見を聞く会を開きました。海洋放出か水蒸気放出の2案が現実的と経済産業省は提言しています。内堀知事や県内の各種団体の代表などそれぞれの意見と、汚染水について考えます。

福島県森林組合連合会 秋元 公夫さん

 いわき市はまだ医療崩壊になっていませんが、一歩間違えればそうなりかねないと考えておかなければならなりません。人との接触を避け、受診エチケットを守ることが自分を守ることになるのだと、その重要性を説いています。



福島県商工会議所連合会会長 渡邊 博美さん

 福島県、特に浜通りは原発事故による風評被害に苦しんでいます。福島県の海産物、水産加工品を拒絶する消費者が納得する処理水の取り扱いが重要であると意見を述べました。



福島県知事 内堀 雅雄さん

 農産物の価格の全国平均との差、漁業の実態、海を観光資源とする浜通 りの観光の低迷などをあげました。汚染水の処理については、風評がさらに上乗せする恐れがあるので、その対策とトリチウムの正確な情報発信が重要だと話しました。

福島県町村会会長 小椋 敏一さん

 福島ありきで議論を進めず、県外での処分も検討すべきだと話しました。



福島県漁業協同組合連合会会長 野﨑 哲さん

 「漁業者は地元で生活を再建することを考えてきた、2月に出荷制限が解除され増産に向け舵を切ろうという矢先で若い後継者には将来を約束していかなければならない」と言い、汚染水の海洋放出には反対の立場を表明しました。

福島県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長 小井戸英典さん

 県内の処理を回避ということもあっていいのでは、としながらも、福島のつらさを他に押し付けることになる、処理水は県内で処分せざるを得ないのでは、と言いました。ただそれは風評被害ではなく実害なので、国は意見を聞き、補償などの対応をとってほしいと訴えました。

海や魚の現状について

 福島県水産海洋研究センター(旧水産試験場)では震災直後から放射能影響について調べています。海や魚はいまどのような状態なのか。放射能研部長の神山享一さんにトリチウムの測定の仕方や値を示してもらいながら、海だけではなく、淡水魚についての話も聞きました。

相馬地方市町村長の意見

相馬市長 立谷 秀清さん
 科学的根拠に基づいて、関係者の合意の上、国が適切な方法で処理すべき。

南相馬市長 門馬 和夫さん
 貯蔵タンク増設の検討など、決して期限ありきでない対応を願う。 

新地町長 大堀 武さん
 「全量 を告示濃度未満にする」という原則を絶対的に守ること。トリチウムの除去は最後まで研究努力すべき。

飯舘村長 菅野 典雄さん
 国が一つの方向を示さない限り結論は出ない。汚染水の処理は国が腹を決めることが大事。


 記事

新型コロナウイルスのこと(3)

 緊急事態宣言が、4月7日に7都府県に出されました。いわき市ではその翌日の8日に市内2人目となる陽性患者が確認されました。新型コロナウイルスの感染者が続出した場合のいわき市の医療機関の対応策と医療機関の実態、住民が注意しなければならないことなどを、いわき市医師会長の木村守和さんに聞きました。


まちがたり

■Guest House&Loung FARO iwaki 

 平三町目「やまとビル」の1,2階に3月中旬、プレオープンしました。  1階はカフェとイベントスペースを兼ねたラウンジ、2階はゲストハウスでドミトリーと個室、シェアキッチンなどがあります。「ファロ」はイタリア語で灯台のこと。オーナーの北林由布子さんはさまざまなものが集い、出会い、語り合えればと言います。オープンは4月24日です。 

 連載

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 コラム

月刊Chronicle 安竜 昌弘
自宅にて
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