第416号

 特集 長久保赤水

 江戸中期を生きた長久保赤水は、農民でありながら伊能忠敬に先駆けて日本地図を編集し、60歳のときには水戸藩主の侍講となり、藩の農政改革などに力を発揮しました。後世にさまざまな書などを残した赤水の人生と、ゆかりの地を取材しました。

久保 和良さんのはなし

 和良さんは赤水から数えて8代目にあたり、水戸藩主の侍講となった赤水が、侍講後赤浜に戻って住んだのが和良さんの家でした。赤水は肉親を早く亡くしたためとても健康に気を遣っていたこと、温和な人だったことなど、伝わっている話を聞かせてくれました。

夏井 芳徳さんのはなし

  夏井さんが赤水のことを詳しく知ったのは、閼伽井嶽の龍燈を研究し始めてからです。赤水図や赤水の書には閼伽井嶽の龍燈の記述があり、閼伽井嶽に見に行った時のことも具体的に書かれています。
 日本地図を作った赤水ですが、少なかった東北の情報を集めるための旅が「東奥紀行」だったのではと夏井さんは考えています。

関内さんは社報で閼伽井嶽を取り上げました。資料を調べるほど、いわきの中心には閼伽井嶽があったのではないかという気がしたそうです。

佐川 春久さんのはなし

 佐川さんは東京出身ですが、高萩の歴史を学ぶうち赤水に魅せられ、今は長久保赤水顕彰会の会長を務めています。
 赤水は伊能忠敬よりずっと前に経度、緯度を用いた正確な日本地図を編集しました。にもかかわらず、あまり知られていません。江戸のベストセラー・赤水図が庶民や後世に与えた影響や、赤水の生き方について話を聞きました。

高萩町歩き

 赤水は高萩の赤浜で生まれ育ち、晩年を過ごしました。生誕地の碑、旧宅があり、旧宅の庭には隠居生活を送った松月亭の碑が建てられ当時を伝えています。旧宅の近くには赤水と両親、継母の墓が並んで建っています。
 松岡城があった周辺は景観ガイドラインが作られ、石畳の道、黒塀など江戸時代を思い起こさせる整備がされています。赤水が私塾へ行くために通ったいわん坂など、ゆかりの地を歩きました。

  

 記事

日々の本棚

 『災害とアートを探る』  赤坂憲雄 著

 福島県立博物館の前館長赤坂さんと日本の災害史の研究をしている北原糸子さんの対談からはじまり、東日本大震災後の博物館とアートとの取組みなどがまとめられています。災害の記憶を伝えていくためにアートが重要と綴られています。

 連載

戸惑いと嘘(50) 内山田 康
歩いて触れて触れられて考えてまた歩く(3)


阿武隈山地の万葉植物 湯澤 陽一
(13)ヤマユリ


地域新聞と新聞人⑭ 小野 浩
皇太子ご夫妻いわきに


今号から松本令子さんの連載がスタートします。

もりもりくん カタツムリの観察日記① 松本 令子
プロローグ


ぼくの天文台(55) 粥塚 伯正 
ひかるもの

 

 コラム

ストリートオルガン (152) 大越章子
百貨店