第419号

 特集 古関裕而と仲間たち

 作曲家の古関裕而(1909-1989)と作詞家の野村俊夫(1904-1966)、歌手の伊藤久男(1910-1983)は福島県で生まれ育ったので「福島三羽烏」とも、所属会社から「コロンビア三羽烏」とも言われ、「暁に祈る」など3人で手がけた歌もある。3人の人生をたどるとともに、同じ福島県出身の作詞家の丘灯至夫にもふれた。
 

古関 裕而のはなし

 古関の1作目のレコードは「福島行進曲」。幼なじみの野村俊夫(本名・鈴木喜八)が作詞し、古関が曲をつけた。戦中は請われるままに戦時歌謡を作り、戦後は劇作家の菊田一夫と組んで「鐘が鳴る丘」や「君の名は」などの人気作を手がけ、いつしか古関にとって菊田は最大の理解者で、創作意欲をわかせる源泉となった

伊藤 久男のはなし

 コロムビア三羽烏のひとりで、福島県の本宮出身の伊藤久男。その豊かな声量で「イヨマンテの夜」などのヒットを飛ばした。その人生と葛藤を紹介する。
 

本宮町歩き

 本宮には伊藤久ゆかりのモニュメントなどがある。生まれ育った実家や墓などを訪ね、久男の面影を求めて、まちを歩いた。

丘 灯至夫のはなし

 丘は西條八十が主宰する雑誌に詩を投稿していた。それが縁で西條の最後の弟子になり、東京日日新聞(現在の毎日新聞)の記者などをしながら作詞していた。昭和24年(1949)に日本コロンビアの専属作詞家になり、38年(1963)には作曲家の遠藤実とコンビを組んで作り、舟木一夫が歌う「高校三年生」が大ヒットした。

「高原列車は行く」のこと

 丘が作詞し、古関が作曲、歌手の岡本敦郎が歌った「高原列車は行く」(昭和29年発売)は磐梯山のふもとを走った沼尻軽便鉄道がモデル。体の弱かった丘は子どものころから、沼尻軽便鉄道に乗って、猪苗代の横向温泉に湯治に行っていた。

 記事

新型コロナウイルスのこと(7)

 いわき市は5月3日以降、新型コロナウイルスの感染者が確認されていなかったが、8月に入って5人の感染者が判明した(8月10日現在)。5人それぞれの経過や状況などを伝えた。


MY SONG わたしの好きな歌

イヨマンテの夜
伊藤 久男


日々の本棚

『ニューヨーク・タイムズが報じた100人の死亡記事』
河出書房新社刊 4200円+税


ギャラリー見てある記

リサ・ラーソン展
 スウェーデンの陶芸家のリサ・ラーソンさんの展覧会が8月30日まで、いわき市立美術館で開かれている。初期から近年までのリサの作品が並ぶ展示室には自由と許容性が漂っている。


追悼 粥塚伯正君を偲んで

川角 功成さん
 若いころから粥塚さんと親交が深い川角さんの、追悼詩と文。


日々のことば

 核がもたらす大きな死、人為的な死。それに対して私は「ノー」と言いたい。(林 京子)

 女学生時代に長崎で被爆しその体験を女学生の目を通して「祭りの場」(芥川受賞作)を書いた林京子。その毅然とした言葉と生き方を紹介した。

 

 連載

戸惑いと嘘(53) 内山田 康
見えない過程(1)


阿武隈山地の万葉植物 湯澤 陽一
(16)ネムノキ


もりもりくん カタツムリの観察日記④ 松本 令子
薔薇の沐浴


DAY AFTER TOMORROW(210) 日比野 克彦 
コロナ渦での「赤鬼」

 

 コラム

月刊Chronicle 安竜 昌弘
斉藤哲夫のこと
沈みがちな心を 洗い流してくれる 明るく弾んだ歌声