第421号

 特集 くり返しくり返しトリチウム汚染水を考える

 東北電力の福島第一原発の敷地内にたまり続けているトリチウム汚染水の処分方法について、経済産業省と「これ以上海を汚すな! 市民会議」(織田千代、佐藤和良・共同代表)の意見交換会が9月3日、いわき市文化センターで開かれた。「海洋放出か、水蒸気放出が現実的」とするALPS小委員会の提言を受けたあと、経産省が市民向けの説明会(意見交換会)を開催するのは初めて。そこでの説明を踏まえ、トリチウムを含む汚染水の処理について考える。
 

汚染水は無害になるまで保管して

 2022年夏には、トリチウムを含む汚染水をためている福島第一原発の敷地内のタンクが満杯になってしまうという。そもそもトリチウムを含む汚染水とは何なのか。トリチウムは健康に影響を及ぼさないのか。漁業者たちがこれまで、地下水バイパスやサブドレイン(建屋近傍の井戸)から汲みあげた地下水の海への放出を、苦渋の選択で受け入れてきたのは、タンクに貯蔵されているトリチウムを含む汚染水を海に流さないためだった。「これ以上海を汚すな! 市民会議」も、無害になるまで汚染水をそのままタンクに保管することを求めている。 

野﨑 哲さんのはなし

 福島県漁業協同組合長の野﨑さんは一貫して、トリチウムを含む汚染水の海洋放出に反対している。そしてコロナ禍、東京オリンピック延期、政権の交代と社会を取り巻く状況が変わるなかで、この問題をこのまま進めていいのか、と疑問を呈している。さらに「反対は立場の表明であって政府に逆らっているわけではない」と言い、反対者がいなくなってしまったら、あとあとのチェックが効かなくなる、と危惧する。

まちの声

 9月6日、小名浜港周辺でトリチウムを含む汚染水問題について、8人(グループ)から 生の声を拾って歩いた。無関心派、「流さない方がいいけれども、流すんでしょう」というあきらめ派などさまざまで、それぞれの意見を紹介する。

明確な「海洋放出反対」は10市町村

 今年に入って、県内各市町村議会ではトリチウムを含む汚染水問題で、県内59市町村の家21市町村が意見書を可決した。「海洋放出反対」を明確に文言として入れたのは10市町村だった。その内容を読み解き、それぞれの事情につい取材した。

いわき市議会の対応

  いわきは「陸上保管を継続すること」という文言は入っているが、「永久保存」ではなく、条件付き。浜通りの盟主でありながら、八方美人的で玉虫色の、どっちつかずの意見書になってしまった。その背景を探った。

 

 記事

新型コロナウイルスのこと(9)

 いわき市では9月6日、21例目の新型コロナウイルスの感染者が確認された。


まちがたり

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 蔵を改造してオルタナティヴスペースとカフェをオープンさせた、嶋崎剛さんの思い。

 

 連載

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 コラム

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