特集 このいちねん 台風19号被害(1) |
台風19号による洪水被害から1年が経った。夏井川の河川改修工事は始まったとは言え、雨に怯える住民たちの不安は解消されていない。いま何が問題で行政にはどうしてほしいのか。平窪地区を歩き、住民たちの声を拾った。

佐藤 将文さんのはなし
佐藤さんは下平窪の区長で、被災者で唯一の検証委員会の委員。地区民が編めに対して敏感になるなかで、「役所と地区民の間にさまざまなギャップがある」と言う。

薄葉 茂夫さんのはなし
上平窪はほとんど被害がなかったが、子どもたちが戻ってこなかったり独身が多かったりと、世帯数の減が課題だという。
降谷 美知正さんのはなし
中平窪の区長である降矢さんの悩みは、住民が要望している進捗状況の説明会がコロナ禍でできないこと。中平窪は借地が多く、解体後は土地を地主に返還する住民が多い。
横山 佐知子さんのはなし
横山佐知子さんは中平窪の常勝院の住職の奥さん。昨年の台風19号の時は境内にも水が上がったが、ありったけの米を炊いておにぎりを作り、近所に配った。娘さんはSNSで支援を求め、お寺は物資の配給や炊き出しの拠点になった。台風被害から1年が経ったいま、平窪で安心して暮らせるようにしてほしい、と心から思っている。

庄司 秀樹さんのはなし
東洋システムの社長である庄司さんは、1年前に現地に入ってさまざまな救助活動をした。それを踏まえ、地域単位での行政と企業の災害協定の必要性、きちんとした災害検証を訴える。

渡辺 博之さんのはなし
市議だった渡辺さんは避難所などを回って歩いた。台風19号で痛感したのは、「流域治水」。それぞれができることをすれば、災害を少なくすることができる、と話す。

記事 |
メトロノーム おざなりな検証報告
台風19号の「災害対応検証委員会」は8人。うち、被災者は1人。被災地を歩くと、「あの水害はどうして起こったのか。いまどこまで復旧しているのか見えない」という声を聞く。検証委員会は現場を歩き、被災者の声をきちんと聞いて健勝に生かすべきだった。

日々の本棚
東京人 11月号
井上ひさしの没後10年で「井上ひさしの創造世界」を特集。生前親交があった憲法学者・樋口陽一さん、評論家の川本三郎さんなどが原稿を書いている。

連載 |
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