470号 2022年9月30日 |
政治が、日本が劣化している
旧統一教会の問題で信教の自由を持ち出す議論がありますが、宗教の話ではなく、マインドコントロールを駆使した「不安産業」といえるでしょう。高額な商品をほとんど人件費なしで売らせ、買わせます。(中村敦夫さんの言葉)
俳優でジャーナリストの中村敦夫さん(82)が旧統一教会問題について、朝日新聞のインタビュー(9月24日付)に答えている。中村さんは参議院議員時代の1998年(平成8)にも法務委員会で「統一教会政治」について鋭く斬り込んでいて、その姿勢や発言はまさに筋金入りだ。
中村さんとは、創刊当時の2003年から交流がある。当時参議院議員だった中村さんを取材し、2004年の参議院選挙で環境政党「みどりの会議」の党首として選挙に臨んで一敗地にまみれたときも、話を聞いた。そのときの「砂漠にジョーロで水をまいているようなもの。政治を変えていく道は果てしない」という諦念の表情が忘れられない。
政治に幻滅したのは、議員のほとんどがただ当選することだけを考えていて、政治の話ができないことだった。みんな就職難で当選できれば、どこの政党でもいいという状況にあきれ果てた。ただ自分のことだけを考えていて、政治をするうえでの道義がなかった。
2011年の5月、東日本大震災で破壊されたいわきの海岸線を、一緒に南下した。中村さんは久之浜の瓦礫の前で「まるで戦争のあとのようだ」と絶句した。終戦のときは五歳。大量のB29が飛来して町を焼け野原にしたかすかな記憶が、一気によみがえったのだという。
さらに福島第一原発事故をめぐる国や東電の理不尽さに怒り、ウクライナのチェルノブイリ原発を視察して、自ら朗読劇「線量計が鳴る―元・原発技師のモノローグ」を書き上げる。中村さんが演じる年老いた元原発技師が、素朴な浜通り地方の言葉で、静かに思いの丈を語る舞台は共感を呼び、全国からの公演依頼が次々と寄せられた。
中村さんの行動や発言は、公憤や義憤から発せられている。群れずに孤高を貫いているからタブーなどなく、忖度も無縁だ。現代社会を「高速道路を逆走しているようだ」と揶揄し、「膨れあがっていったらパンクするしかない。グローバルでなくローカル、強欲ではなく少欲知足を心がけるべき」と警鐘を鳴らす。
そして、凶弾に倒れた安倍元首相と旧統一教会との関係についてもインタビューで、「祖父の岸氏以来の選挙マシンとして実用性はあったのでしょう。でもあれほど愛国心を唱えながら、なぜ社会問題を起こす集団とつながり続けたのか。指導者としての政治思想はあったのか。安倍氏を忖度してきた集団が右往左往している。政治家が劣化し、日本が劣化しています」と断じている。
特集 新型コロナウイルス 私たちの自宅療養の日々 |
ある日突然、80代の親と50代の会社員である自分がコロナに感染してしまった。ある家庭の自宅療養の日々を日記風に振り替えてもらった。
高齢な親の体調観察に緊張と責任を感じた
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記事 |
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講演「私は国葬挙行に反対する」
民法学者・東大名誉教授 米倉明さん
性源寺住職 渡辺則芳さんのはなし
東京基督教大名誉教授 稲垣久和さんのはなし
旧統一教会のこと
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280万円をだまし取られ、取り戻す
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メトロノーム
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阿武隈山地の万葉植物 湯澤 陽一
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伊賀氏のこと
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