

のんきから勇気に変え流れを断つ
川内の再稼働 |
九州電力川内原発の再稼働について薩摩川内市が同意した。全国に13ある原発のなかで立地自治体が再稼働に同意したのは初めて。九電との「安全協定」で、同意が必要な範囲を、薩摩川内市と県に限っているので、次の焦点は鹿児島県議会と伊藤祐一郎知事の判断へと移る。
10月29日付朝刊の記事。福島と鹿児島は遠いが、どこも同じで、目先の経済を優先する。税金、雇用、交付金…。福島の事故なんてよその国の話なのだろう。災難が身に降りかからないとわからない。
何とか、のらりくらりと続いてきた「原発ゼロ」も、風前の灯の気配だ。川内が、堰なのだろう。ここを突破されたらなし崩しに再稼働に向かうような気がしてならない。だから、福島県知事選は大事だった。県外原発の再稼働については言及しなかった内堀さんが当選した途端、これだから。
先日、「どこでもフクシマ会議」を主宰している角取明子さんから誘われて、高円寺のイベントスペースで話をした。「福島の子ども保養プロジェクト・杉並の会」が中心の会だった。テーマは「いわきのいま」。さまざまな質問を受けた。原発や放射能を問題視している人たちが多くても、そこには当然、皮膚感覚のずれが出る。聞く側も答える側も、それを埋めるための質疑を繰り返した。ありがたい集まりだった。
強調したのは「放射能は、風や水、車のタイヤなどで移動する。だから福島だけの問題ではない」ということ。いわきは原発に近いが、放射線量は東京とさほど変わらない。この問題は自分のこととして考えなければならない、とも言った。
狭い国土、しかも地震国で火山国。使用済み核燃料の処分方法が決まっていないので、核のごみが増え続けている。どこかの原発で福島と同じようなことが起こったら、もう日本には住めなくなるかもしれない。でも事故を身近に感じていない人たちは「自分のところは大丈夫。あれは福島だから起こったこと」と意に介さない。のんきなものだ。
福島県知事選の結果を見て思うのだが、この人任せ、なるようになるさ、の住民意識まん延が危うい。「のんき」から「勇気」にしないと、やられ放題になってしまう。
(安竜 昌弘)
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