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 「ごく普通の東京の勤務医の給料は、決して高くはないんですよ」と常盤峻士さん(59)=財団法人ときわ会副理事長。自らが育ててきた「いわき泌尿器科」(内郷綴町)には現在5人の常勤医師と4人の非常勤医師がいて、延べにすると月100人の医師が診療や手術をこなしている。医局の中心は東京女子医大で、10年かけて人脈を深め、広げてきた。そして「やりようによっては医者は集められるはず。結局はトップの気持ちひとつ、指導力次第なんです」と言う。

 中学生のときに腎臓を患い、治してくれた医者に憧れた。仙台二高では浅野史郎・前宮城県知事と同期で、岩手医科大に進学してからは登山と空手に明け暮れた。「外科で飯を食うのは大変だから泌尿器科にしろ」と先輩に言われ、手伝っているうちに泌尿器科の医者になった。
 医療従事者としての使命感が培われたのは、東北労災病院(仙台)での研修医時代。指導してくれた医師は「医者は首から下、体力だぞ」と言い、「打聴診は医者の義務」と患者に対する向きあい方まで教わった。だからいまでも触診を欠かさない。
 そして、東北大医学部長や東北労災病院長を務めた槙哲夫医師からは「一流の手術を教わった医者は二流、三流に落とせるが、三流の手術しか教わっていない医者は一流の手術はできない」と言われた。
 いわきとの縁は、福島労災病院に派遣されるようになったこと。何回か来ているうちに個性が強い千葉隆一医師(副院長)に可愛がられ、結局は居つくことになった。当時の福島労災病院は腎臓・泌尿器の治療が看板で、浜通りの9割の患者に対応していた。90床に医師9人。全国でも指折りの規模と内容だった。
 その後独立して、いわき泌尿器科を立ち上げ、6つのクリニックと1つの老人保健施設を開設。さらに昨年10月には、いわき泌尿器科、泉中央クリニックと竹林病院を合併し、業務連携を図れるようにした。
 その背景には、人工透析患者の増加と「自宅で看取る」という国の在宅医療重視政策がある。慢性の病気を抱え、長期の療養が必要な患者のための療養病棟には現在、医療型(医療保険適用)と介護型(介護保険適用)、2つの区分がある。しかし厚生労働省はここ数年のうちに医療型を半分以下の15万床に減らし、介護型を全廃する方針を打ち出している。結果、医療難民がますます増えることになる。
 人工透析患者の八割は糖尿病が原因の合併症だと言われる。そのためにも医療型の療養病棟が必要で、内郷の保健福祉センターわきの敷地に新しい竹林病院を建てる計画を進めている。平にある現在の竹林病院も分院(クリニック)として残す予定で、その目的を「共立病院を補完するため」と説明する。

 なぜ医師を確保できるのか―。「それは現況や立場をきちんと把握し、時間をかけて対応しているから」と説明する。若い医師を連れてきたら、待遇面できちんと処遇する。そのうちに良い医師が来るようになり、その存在を核に人脈が広がっていく。そうした地道な努力が10年以上かけて実った。
 常盤さんによると、東京の勤務医は一流の技術を持った一部の特殊な医師以外は、さほど年俸が高くない。しかも大学の医局で教授になれる人は限られているから、人材を探せばいる。特に子どもの教育に金がかかるようになった中堅医師は、条件面で折り合えば来てくれる。
 土曜日は医局が休みなのでアルバイト医師も探しやすく、常勤医師の週休2日もきちんと守れる。そうすれば週のうち2日は自宅に帰れるので、子どもの教育を東京でしたい医師の単身赴任も可能になる。

 勤務医不足が顕著だというのに、病病、病診、診診連携がなかなかうまくいかない。常盤さんは最終的にはトップの気持ち、指導力次第だと言う。そして共立病院再生策としては、まず緊急的措置として@外来を閉鎖して入院医療に特化するA残っている医師の存在価値を評価し、インセンティブ(報奨金)を与える制度を導入するB必要な医師については定年を延長する。さらに救急、小児科、産科など市全体の基幹的役割を担う診療科は赤字覚悟で踏ん張る。そうしたなかで、長期的視野に立って医師を確保し、育てていくことが必要、と説く。
 地域医療が叫ばれ、開業医が余っているというのに、診療科目が違う開業医同士が協力し合う、地域の安心医療システムが思うようにつくれない。病院が医師不足なのに、病診連携による協力態勢ができない。なぜなのか。
 常盤さんは「食べていけているから…。リスクを背負う必要がない。要は医師としての志の問題。偏差値が高いだけではなく、創造力、独創性、進取の気性、そして胆力がないと。医者というのは専門バカではなくて、バカ専門。ノーブレス・オブ・リージュの精神、つまり財産・権力・社会的地位には責任が伴うことを自覚しなければ」と嘆く。







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