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 いわき市が昨年11月に発表した「市立病院改革プラン」の成案化が秒読み段階に入っている。しかしこの案をめぐって市と医師会・病院協議会の対立が表面 化し、市の思惑通りには運んでいかない。医師会などが問題視しているのは「常磐病院は二次救急を存続することを前提に、受け皿として期待される民間の医療法人等への譲渡する」という部分。医師会・病院協議会側は「二次救急を担えるのはかなり大規模な医療法人で、市内医療機関の人材が引き抜かれることが予想される。それは磐城共立病院にも及び、地域医療は完全に崩壊する」と危惧する。果 たしてそうなのか。病院改革プランはパブリックコメントを精査し、医師会などとの調整、議会での話し合いを経て3月中には成立する予定だが、これから限られた時間でどう着地するのか注目される。病院改革プランの背景、市内の地域医療をめぐる問題点などを探りながら、さまざまな立場の人たちから取材した。



 今月2日、いわき市医師会長名で「市立病院改革プラン案に対する意見」という文書が櫛田市長に提出された。その内容は(1)これまで7回にわたって地域医療協議会が開かれたにもかかわらず、市立病院改革プランが取り上げられず、事前説明がないままいきなりプレス発表された(2)二次救急存続を前提にした民間の医療法人等への譲渡は、市内医療機関からの人材引き抜きにつながり、地域医療の崩壊につながる―など。それを前提に問題となる部分の修正案を提示した。
 そこには「統合後の分院(常磐病院)については、本院での運営が困難な機能を存続することを前提に、受け皿として期待される地元の民間の医療法人等へ譲渡することも選択肢のひとつとして考えられる。明確な方針については、市、医師会、病院協議会、本院と分院の関係者(病院長も含む)で分院の今後のあり方についてのプロジェクトチームを立ち上げ、その中で充分な審議を行うこととする」と記されていた。
 今回の動きを整理してみる。
 まず「一市一病院一施設」は周知の事実・既定路線で、問題はその時期と常磐病院を具体的にどうするのか、だった。そうしたなかで総務省が平成20年度中に財政健全化をベースに「市立病院改革プラン」を策定するように求め、市内部での検討が始まった。
 市の結論は「分院の診療機能を本院(共立病院)に統合し新たな市立病院として平成22年4月の実現をめざす。なお、統合後の分院については、市内の救急医療の現状を踏まえ、その機能(二次救急)を存続することを前提に、受け皿として期待される民間の医療法人等へ譲渡する」。その理由は「このまま2施設を維持していくことは共倒れの可能性があり、財政的に困難。しかし常磐病院の機能は残す必要がある」というものだった。
 一般会計からの長期貸付残金を苦肉の策でゼロにしたというのに、平成19年度は2つの病院で年間約23億円もの赤字。それは医療スタッフの高年齢化や不採算部門を抱える公立病院であるがゆえの苦悩なのだが、とことん追い詰められて、このまま行ったら資金ショートは確実な状況。市にとって「常磐病院の民間譲渡」を核とするプランは、やむを得ない選択といえた。
 そのプラン案は関係団体などに事前説明することなく直前まで伏せられ、昨年11月下旬に議会説明と同時にプレス発表されて公になった。そのやり方について「医師や患者の意見を聞いていない」「財政健全化だけではなく、根幹からの市立病院改革プランを考えるべきではなかったのか。そのために各界各層の知恵を借りるための会議が必要だったのでは」などの反発があったが、市側は「パブリックコメントを公募するので、それを成案に反映したい。総務省のオーダーには、特に検討のための組織を立ち上げるよう義務づけてはいない」としている。そうしたなかで、組織的に表面 切って、しかも具体的に異議を唱えたのが、医師会と病院協議会だった。
 医師会は市内の医師が加盟する任意団体、病院協議会は市内に29ある病院の組織で、民間の医療者が大半を占めている。平成18年12月には、地域の医療問題を解決するための「市地域医療協議会」が立ち上がり、7回にわたってさまざまな話し合いを重ねてきた。そのメンバーが市、市立病院、医師会、病院協議会の代表者。それだけに、地域医療協議会の俎上に市立病院改革が乗らなかったこと、議会説明、プレス発表まで内容を知らされなかったことに違和感を覚えた。
 しかも主たる内容が「二次救急が存続できる民間医療法人への譲渡」。その条件に当てはまるのは、資力を持った市外の医療法人しかなく、これでは、市内の医師、看護師などが引き抜かれて共立病院さえ危ない。地域医療存続の危機、と声を上げた。
 いま、市内の病院ではどこもかしこも医師不足が深刻。そんなところに黒船が来襲したら市内の病院などひとたまりもない、というわけだ。それに対して市側は「共立病院の場合、医局人事の医師が多いので、さほど影響は出ないと思う」と説明する。
 ポイントになっている「二次救急存続可能」という条件。ここにも医師不足や医療スタッフを含めた夜勤体制を組めない事情などが、深刻な影を落としている。
 一般的に一次救急とは入院の必要がない程度、二次は入院の必要があるもの、そして三次は二次より重いもので、共立病院内にある救命救急センターに運ばれる。
 市内で県から指定されている救急告示病院は共立、労災、常磐、呉羽、松村、かしま、竹林の7つ。さらに協力病院として磐城中央、石井脳神経外科眼科、中村、小名浜生協、なこその五つ。これに松尾、いわき、櫛田、こうじま慈愛、いわき湯本、大河内、菅波を加え、磐城中央を除いた18病院が輪番病院に登録されている。
 常磐病院の場合、救急車の受け入れ(平成19年度)が二次輪番病院全体だと10.2%、救急搬送総件数に対する割合だと8.7%を占める。夜間の救急は医師が少ないうえに、医療スタッフを配置せずに呼び出すところが多く、現実はどこも厳しい。それだけに市としては「常磐病院が担っていた二次救急を堅持したい。それには譲渡要件の枠を広げないと引き取り手が出ない恐れもある」という思いが強い。
 医師会などは「総務省の期限にこだわらずじっくり議論すべきでは。何かペナルティーはあるのか」と問いかけ、市側は「特にないが、あくまで期限内の提出をめざしたい」と答えて平行線のまま。文言の変更についても、市長が事務方に見直しを指示したが、市全体としては慎重な態度を崩していない。議会でのやりとりなども踏まえて、最終結論を出すことになりそうだ。
 全国の公立病院の八割は赤字。黒字の病院の場合、医師の確保が比較的容易でメディカルスタッフの新陳代謝が良く、年齢が低いところという特徴がある。常磐病院はメディカルスタッフの平均年齢が高いため、人件費が全体の9割と病院会計を圧迫している。市は22年4月までに医療スタッフ全員を共立病院に移す方針だが、二つの病院の体質の違いなどもあり、スムーズな異動ができるのか危惧する向きもある。
 そうしたなかで一部から出ているのは、医師会・病院協議会が運営主体になって常磐病院に思い入れのある現存スタッフができる限り残り、病院を維持する案。「公立」のルールを排除しながらも二次救急は堅持し、民間の手法で病院経営をする。その場合、医師会・病院協議会の強力な意思の統一、結束、そして責任が必要になる。
 また、こんな意見もある。
 「総務省オーダーの財政健全化改革プランにこだわらず、共立病院の改築も含めた広い視野での改革プランをまとめ、今後に向けた方針をはっきりと打ち出すべきではなかったのか。確かに財政は厳しいが、トップが決断さえすればできる。いわきの医療をどうするかという、視野が欠けているような気がする」







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