10日午後1時20分、約束の時間になっても医師会、病院協議会の幹部たちは姿を現さなかった。いわき市役所内にある記者クラブ室。待つこと25分。記者たちの間にいらだちの表情が出ていた。
その記者会見申し込みは突然だった。当日の午前中、記者クラブの幹事社に連絡があった。普通
は数日前に打診が来るので各社への連絡がしやすいが、その日だと都合のつかない社も出てくる。「でも、どうしても今日お願いできないか」と医師会側が言い、午後からの会見が決まった。
やっと、医師会の木田光一会長、病院協議会の松村耕三会長などが記者クラブ室にやってきた。市長と議長に声明文を手渡し、懇談していたら時間がかかってしまった、という。すぐ、木田会長が声明文を読み上げた。
その内容は(1)プランの発表が突然だった(2)常磐病院の民間譲渡は、地域医療へ与える影響が大きい。にもかかわらず十分な議論がなされず、あまりに拙速(3)市にプランの修正を求めたが、応じられないという回答だった。これでは、関係を損ねることになる―というもの。それに加え、「いわき市から委託を受けている、休日夜間急病診療所などへの協力も再考せざるを得ない。プランの継続審議を」と訴えた。
医師会側の言い分はこうだ。
この4年間で勤務医は13%減っている。どこも医師、医療スタッフがぎりぎりの状態。微妙な地域バランスの上に成り立っている。そうしたなかで常磐病院がなくなり市外の民間病院に譲渡されたらどうなるのか。四百人ものスタッフを連れてこれるはずはないので、現地調達になる。となると、医師も看護婦も引き抜かれ、いわきの医療は崩壊する。共立病院だって危うい。東北大だって出さない。
常磐病院の11人の医師だって、共立に移るのは精神科の2人だけ。残る九人は移らない。すでにスカウト合戦が始まっている。患者のことなどを考えると、来年3月までに民間譲渡する、というのはあまりに拙速すぎる。期間が短すぎる。
これに対して記者が「休日夜診などへの協力も再考せざるを得ない」というのは、市民の健康を守るべき立場の医師がそれを担保にして市に圧力をかけていることにならないか、と聞いた。
木田会長は「休日夜診に対しては、時間や人数を拡大するなど、市の要求が増えている。私たちはそれに協力して、1次はこちらできちんとやりますから3次をお願いしますよ、と言っている。実際、土曜の深夜から朝までの急夜診の医師は、こちらが東京から確保した。それなのに、今回の改革プラン問題のように『聞く耳持たぬ
』ではプラスアルファの部分は考えさせてもらいますよ、ということ。もちろん、これまでやってきたことは、きちんとやります」と答え、医師会側は「市はやるべきことをやってない」と訴えた。
さらに「なぜきょう会見だったのか」という問いに対しては「常任委員会で請願が否決されてしまったら行動のタイミングを逸してしまう。10日にしなければ意味がない、と議会筋からアドバイスがあったから」と説明した。
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