なぜ、いわきだけ勤務医が減っているのか―。これは難しい問題です。正直わからないし、説明もつきません。よく言われるように新幹線沿線かどうか、ということも当然あると思います。
それから、いわきでたまたま開業する医師が集中したのかもしれません。開業医には定年がないですから、勤務医は自分の人生設計のなかで当然考えます。30代後半から40代ぐらいでしょうか。そうした医師が年齢的に重なった可能性もあります。いわきの医師会が特別
で、他地区と違っているとも思えません。
私事で恐縮ですが、わたしが医大生のときは基本的に自主研修で、自分でトレーニングするようにということでした。研修の時点では非入局だったんです。今から16年から18年前のことですから、当然、臨床研修医制度が始まる前です。
そのころの医大生はたいてい、将来は大学に戻りたいと思っていたので先輩がいる病院を希望しました。それが心理的なしばり、だったのかもしれません。わたしの場合は小児科だったのですが、東北大の関連病院で自分の出身地、しかも症例数が多くて指導者層も厚い、という理由で磐城共立病院にしました。
それが臨床研修医制度の発足で医局による心理的なしばりがなくなり、自分が希望する病院に行きやすくなりました。結果
、大学の医局が関連病院に派遣できる医師の絶対数が不足し、地方にある病院の医師不足が顕在化した、というわけです。
病院の医師確保は、1つの方策だけで解決できるものではありません。いま市がやっているさまざまな事業を粛々とこなし、ある時期が来るまで待つ必要があります。国や県も現状を改善するために方策を考え、医大の定員増など医師を増やすためにさまざまなことをしています。そうしたものが功を奏すようになると、当然受け皿が必要になってくるはずです。ここが我慢のしどころだと思います。
これは個人的な考えですが、いま市民がすべきなのは将来に投資することではないでしょうか。具体的には医学部に進む子どもを1人でも多く育てることです。科学に興味がある子、心の優しい子、人の命を救うことを志す子を増やすことです。そうすれば必ず、地元に帰ってきます。
いわきに関係のある人、福島に関係のある人、東北に関係のある人はなんらかのかたちで、地元の医療に携わるはずです。父母や学校の先生たちが頑張らなければなりません。
ものごとを悲観的に見れば見るほど医師は減っていきます。地域の雰囲気が悪く、患者のクレーマーが多い地域は荒んでいると思われ、医師は敬遠します。それが悪循環になっていきます。すべてがネガティブで、将来に希望が持てない地域というのは、どんどん沈んでいくのです。
医師を引っ張ってくることだけを考えてお金を積んだり、病院を立派にすればいいのか、といえばそれは違います。道は遠いようだけれども、みんなが協力して自分の地域で医師を生み育てること、その環境をつくっていくことこそが、いま必要なのだと思います。
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