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 医療界はいまマグニチュード5の状態にある。日本の医療、福祉をどういう方向に持っていくのか。北欧型か、それともアメリカ型か。持っていく先が見えた感じ。これまでの安心のある医療、福祉の形がまったく崩れそうだ。前からじわじわと来ていたが、今度の医療制度改革によって変化がはっきり、スピードを増して現れている。だから、マグニチュード5。しかしその危機感を受け止めているのは、医療、福祉関係者だけだ。

 1つは療養病床の廃止の問題。全国に35万人ぐらいの療養病床があるが、そのうち医療を必要とするお年寄りは15万人。残り20万の人たちは、療養病床が廃止されたら現実問題としてなかなか行き場がない。そのお年寄りたちを「難民にするな」と思う。
 いわきのお年寄りは年収200万円ぐらいが圧倒的に多い。1カ月に12、3万円が限度のお年寄りを有料老人ホームで受け入れたら経営は成り立たない。これからはそういう問題がどっと出てくる。行き場の確保はお年寄り自身の経済力でやるしかない。
 厚生労働省は在宅医療を充実させようと、在宅支援管理料というのを設けて在宅支援型診療所をつくろうとしている。条件は月2回のお年寄り宅の訪問と、24時間いつでも連絡が取れること。
 この間、いわきの医師会でアンケートを取ってみたが、それをやってもいいという開業医は1割以内。医者は自分の専門を外来で診るトレーニングしかしていない。実際はそんなに縛られることはないけれど、現場は厚生労働省の思い通 りには動いていない。
 もう1つは急性期医療の問題。平均在院日数が17日以内で、患者と看護婦の割合が1対1.4の体制を持つ病院でないと、経営的に無理になってくる。まして医療費の固定価格の総額が3.16%のダウン。急性期医療の病院をやりたくてもできない。
 いわきの医療は産業と同じで、アクセスが悪くて医者の集まりが少ない。だから個人開業が9割で、病院が弱い。郡山は開業医が病院ほど目立たない。医師、そして看護師の構成要因が少ないために、病院が育たない。公的病院はまだ大学とのパイプで何とかだが、民間病院は育たない。
 いわきでは年間3000人の赤ちゃんが生まれている。いまの産科の状況ではいわきでの里帰り出産は難しいだろう。それに脳外科の手術。松村病院の脳外科医が引き上げてしまったため、重大な手術は共立病院でしかできず、集中している。

 ここ数年、「これから医療がどうなるのか」という、これまで持ったことのないほどの不安感がある。医療が進歩して、いい医療を提供できるということより、財政的な問題に絞り込まれている。患者の医療費負担が多くなる。病院や診療所は効率性のある適切な医療をどうするかより、自分の問題できゅうきゅうとなっている。
 解決方法は病院同士の特性に重点を置いて、機能を集約すること。だれでもわかっていることだが、そこのところでリーダーシップが発揮できていない。行政が取り組んでいるのは公立病院の問題だけ。
 そのコーディネーターは共立病院しかない。共立病院は急性期に特化し、在院日数は14日にして、ベッドは600床ぐらいで回転を高めていく。院長には絶対的な権限を与え、その代わり責任も持ってもらう。赤字の立て直し屋さんの院長をヘッドハンティングしている病院があるが、全権を院長に委任するということで立ち直っている。
 そして病病、病診連携をしっかりやっていく。いま、病院の垣根を越えて患者のために疾患別 による連携はされていない。
 共立病院には一次から三次までの救急が運ばれてくる。いまの休日夜間診療の部分を、開業医の各科の医者が集まって診ることができる休日夜間救急センターにして、一次、二次の救急はそこで診療すればいい。その実現は、行政の上に立つ人の「安心感を与えよう」という理念の問題。ものごとは知識ではなく思いで動く。

 かしま病院をつくったのは開業医のための開放型病院を医師会でつくろうということから。10人が理事になって始まった。数年後には特別 養護老人ホームもつくった。その後、病院は一般外来のためのクリニックと、入院患者のための病院にわけている。
 医師は人脈で集めている。看護師はある時から毎年、市内の高校を歩いて看護師志望の生徒を募集し、看護学校の学費を出している。三年経って卒業するとかしま病院で働くというシステム。そこまでしないとスタッフは集まらない。
 リハビリに通院する患者さんのために、いわきで初めて病院バスを走らせた。寝たきりにならないためのリハビリは、病院の理念にあったし、全国を歩いて理学療法士、作業療法士も集めた。バスを走らせてまで患者を集めるのかと非難された時期もあったが、いまはどこの病院、医院でも専用バスは当たり前になっている。
 これからはセンター化、総合病院ではなく、専門の先生が集まってやっていくのがいい。そのなかでかしま病院は包括医療。予防、診断、治療、リハビリ、福祉、それに健診をしっかりやっていきたい。
 いま、在宅患者を200人抱えている。うちの医者だけでは訪問診療は手が回らないから、開業医の同級生に声をかけて、応援してもらっている。そして「何かあったらすぐ連絡してくれ」と言っている。人間関係を生かしながらやっていかないと、なかなか難しい。

 医療や教育は直接、担当している人たちの理念、情熱で支えられている。行政が関与するものではない。医療は一歩も二歩、できれば5年先を見据えてやっていかないと遅れてしまう。その変化に追いついていくためには、トップの考えが即、現場に反映されないと、どんどん遅れて、経営的にもまずくなる。
 余裕を失ったらいい医療はできない。変化は知らないうちに進んでいて、ある時、一気にかーっと変わる。








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