繰り返しますが、いわきは医師不足ではなく勤務医不足なんです。いまはこの状況を耐えるしかないんですが、開業医の先生方、月一回ぐらい、当直を手伝っていただけませんか、という気はあります。そのくらいのご負担をいただければ、もう少し頑張っていける。 (病院理事長)
【補足】
共立病院の現在の医者の総数は134人で2年前と比べて5人増えているように思えるが、それは初期研修医や嘱託医も含めてのこと。常勤の正式な医師は82人で、17人減っている。松村病院は26人いた医師が現在12人に減った。うち救急の当直医は松村耕三理事長をはじめ8人で対応している。
いわきは個人開業が8割を占める地域。例えば、開業医が病院の救急の当直を手伝うとすると、翌朝には自分の診療所に戻るので、入院が必要な患者を入院させられないなど、難しい問題があるという。手伝ってもらう場合には、患者の引き継ぎなど病院の診療体制を整える必要がある。
今年7月には3年ほどぶりに、いわき市と医師会、市立病院、病院協議会の四者協議が持たれ、医師不足をテーマにいわき地域の医療について話し合われた経緯はある。近々、市地域医療協議会が新たに設置され、市と医師会が定期的にいわきの医療について話し合いを持つ。
医師を金で釣るのは反対。集約化を図ることが必要だと思う。そうすれば、1+1は3にも4にもなる。そして、いわき市出身の医師を地元に戻すこと。そうすれば潤沢な現場が出来る。 (病院勤務医)
【補足】
集約化とは、専門医が少なくなっているなかで、いわきに点在している専門医を一カ所に集めて診療・治療できる体制をつくること。そうすることで孤軍奮闘している医師がチームで診療できる。また、勤務医不足のなかで総合病院がその機能を発揮できないいま、各病院、診療所それぞれが得意分野でネットワークを組んで、地域で総合型医療を目指すことにもつながる。
レベルの高い医療を受けられるのか、というといわきでは無理。両親が福島にいるのだけれど、不安で連れてくることはできない。いわきでは病気にもなれない。それでもなんとかなっているのは、病院の勤務医が、通
常の1.5倍から2倍ぐらい働いているから。もうたくさん。普通の仕事がしたい。
これが郡山、福島、会津だと助け合いの医療圏として成り立つ。いわきは、地理的に孤立していて、対策の立てようがない。共立は、どの科も行きたくない病院のナンバー1になっていて、勉強にはなるけれども、もう一度来る人がいない、というのが現状。もっと魅力ある病院にしていかなければならない。
(勤務医)
【補足】
共立病院ではいま、いくつもの科で診療制限をしている。心臓血管外科は医師が1人しかいないため、緊急の手術ができない。神経内科は9月末で3人の常勤医師が大学に戻ったため、週に1回だけ再診の患者のみ診療している。呼吸器科も再診の患者だけ。
循環器科は医者が9人から4人に減り、24時間体制での診療はできない。産婦人科の産科は異常とハイリスクの妊産婦だけに限っているが、来春には3人いる医師の1人の退職が決まっている。放射線治療も週1回、大学から来ている医師に頼っている。
皮膚科は完全予約制で火曜と水曜だけの診療。小児科では平日の午後は紹介と再診の患者、それに救急だけ。泌尿器科は診療受付時間を短縮している。
いわきでいま、お産のできる病院は共立と松村の2カ所、クリニックは森田産婦人科麻酔科医院、つくだ町産婦人科医院、ノブマタニティークリニック、渡辺産婦人科、佐藤マタニティークリニック、村岡産婦人科医院の6カ所。市内に産婦人科医は34人いて、平均年齢は58.4歳。うちわけは40歳未満が3人、40代が6人、50代が9人、60代が7人、70代が9人となっている。産婦人科を希望している研修医は少なくなっている。
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市民には「共立神話」が根強いんです。どうしても「共立に運んでください」って言われてしまう。 (救急隊員) |
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救命救急センターは本来三次医療を診なければならないのに、一次、二次の患者に縛られて夜も寝ないでやっている。一次、二次のものが二次輪番の病院や共立へ行っているのが現状。いわきの一次は休日夜間診療所だけ。やらないですんでいる。医師会が一次救急の仕組みをつくるべき。義務づけてやるべき。他地区では実際やっているのだから…。
(共立OB) |
【補足】
救急は一次、二次、三次にわかれているが、目安として一次は患者が歩いて帰宅できる程度、二次は入院が必要な可能性はあるが、命にかかわるものではない状態、三次は命にかかわるような重症な状態。
個人開業医の多くは診療所と生活の場が違うため、時間外は診療所が無人になってしまい、夜間の救急を診ることは難しい。夜間や休日は診療所にかかってきた電話が自分の携帯電話に転送されるようにしている開業医もいるが、ほとんどの一次救急は共立病院内にある休日夜間診療所と草木台総合クリニックが担っている。
二次救急の輪番病院は17病院あるが、その日の当直医の専門外の患者の場合には、受け入れを断ることが多く、輪番病院になっていても、受け入れ態勢、患者数には差がある。整形外科の患者で、当直が整形外科医だったとしても「レントゲンが撮れないから」と、受け入れを断られるケースもある。
そうして救急隊は患者を救急車に乗せたまま、10軒近い病院に連絡をしても受け入れ病院が決まらず、最終的に共立病院の救命救急センターで受け入れるケースは多い。原則的にセンターは三次救急だが、臨機応変に対応している。センターに運ばれる患者で重症なのは4分の1ほど。
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