ある日の昼前、遠野に住むクシダ先生と末息子のアキラさんが編集室にやって来た。 アキラさんは「迷宮美術館いわき編」をつくったチーフプロデューサー。無事番組も放映され、帰省を兼ねてあいさつ回りをしに、と言った。パパクシダは、言ってみれば「アッシーくん」で、息子の足役を買って出たのだった。 この父子、同じソファーに少し離れて座って照れくさそうにしている。男同士なので、日ごろからぺちゃくちゃ話すこともないのだろう。なんとも微笑ましい光景だった。 「息子が嫌がるもんだから」と父が言ったら「でも、いわきは足がないと困るので…」とアキラさん。それが間接的ではあるが感謝の言葉なのだろう。なんとも温かかった。そしてご丁寧に手土産まで。中身は遠野まんじゅうだった。