2年前、産婦人科医の不足のなかで、共立病院に医師を集約しました。それを知った時「どうして、医師不足?」と考えました。ベビーブーム生まれのわたしが大学生の時、医学部の定員は120人でした。それが1986年、このまま医師が増え続ければ日本は滅ぶと、定員を減らしました。
医師不足をあまり身近に感じていませんでしたが、昨年夏、朝日新聞の声欄に、いわきの70代の男性の投書が掲載されました。
「親類の主婦が心臓疾患で倒れ、共立病院に搬送されたが、緊急手術には対応できないと、郡山の病院に転院となった。三次救急医療機関のはずなのに、いつの間にか貧弱になってしまい、高齢者の私は不安になった」という内容でした。医療崩壊はみんなの知らないところで進んでいる、と感じました。
その投書を読む少し前に、周囲に声をかけて医療の勉強会を始めました。本田宏さん(埼玉県の済生会栗橋病院副院長)の本などを読みながら日本の医療の現状を知り、いわきの現状についても知り得る限り拾い集めてみました。
燃え尽きて辞めていく勤務医、それに拍車をかける研修医制度改革。「安心・安全なまちづくり」と首長や議員は言いますが、病気になっても医者に診てもらえない現状をますます感じました。そして常磐病院の民間移譲の問題。総務省の方針によるものでしょうが、「常磐病院がなくなるのか」「どうなっているのか」と、質問されることが多いです。
いわきの厳しい医療の現状を、多くの人はまだ認識していません。市議会特別委員会やいわき地域医療協議会に、市民は入っていません。市民全員にかかわる医療問題を広く知らせ、市民を中心に論議しながら、「住んでよかった」と思えるまちづくりに繋げられたら。そう思って「(仮称)何とかしよういわきの医療・市民の会」を3月中旬に発足させます。
医療崩壊はそもそも国がやってきたことによるものです。銚子市のように病院がなくなる状況になって初めて、市民運動は起きます。いわきで市民の大きな声が聞こえにくいのは、現状認識がまだぼやっとしているからでしょう。
発足させる市民の会では4月下旬に市民フォーラムを開くとともに、市民のための医療を基本に、考えられるさまざま活動をしていきたいです。「いわきの医療は大変」という渦になり、勤務医の応援団にもなれればと考えています。
9月には市長選があり、たぶん争点は病院問題になるでしょう。安心・安全のまちづくりは、福祉と医療を充実させるまちづくりです。公立病院のあり方を候補者がマニフェストにどう記すかも、しっかり見ていきたいと思っています。
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