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 市民が安らぎを感じる風景として親しまれていた平カトリック教会の木々が伐採されて1年9カ月。その前を通ると、いまだに巨大な木の根っこがきちんと整列して残っており、目が痛い。しかし、街のなかに森をつくった、いまは亡き神父さんの精神は生きていた。伐採された木を使って、教会のシンボル像をつくる作業が始まっているからだ。
 切られてしまい山と積まれたプラタナスやヒマラヤスギ、カエデ…。その光景を見た一人の女性がその木々を引き取った。鈴木延枝さん。延枝さんにとって、その森は遊び場であり、聖域だった。延枝さんは、神父さんの思いや自分の思い出を何かかたちに残せないかと考え、彫刻家の安藤栄作さんに伐採木を使っての彫刻を依頼した。さらに、教会からも「神父さんが植えたカエデを使って信仰の象徴のようなものを彫っていただけないでしょうか」という注文が入った。その後、延枝さんは病に倒れて帰らぬ 人となり、安藤さんの手に、延枝さんの思いと約束が残されたかたちになった。
 「この仕事は、自分の魂を大切にする、ということ。それが生きるということであり、自分が輝くということ。それによってみんなも輝くとことになる」。安藤さんはつないでくれた延枝さんに感謝しながら木と向き合い、さまざまな魂と響き合う準備をしてきた。変に格好つけるとスピリットが弱まる。だから、なにものにもとらわれない輝きを表現したい、と言う。







「下妻物語」
 映画「下妻物語」を見た。原作は嶽本野ばら、主演が深田恭子と土屋アンナ。そのテンポの良さとパワーに圧倒された。原作の面白さとそれを生かす演出が見事にマッチしており、「楽しませてくれる映画だ」と思った▼ロリータ趣味の桃子と暴走族の突っ張り娘・イチゴ。その友情がベースだが、茨城県の下妻という舞台設定がいい。桃子は、下妻から代官山のブティックまで、自分の趣味の服を買いにせっせと通う女子高生。ある日ふと思う。「下妻の人たちはどこで服を買うんだろう?」。するとまちの人たちが答える。「ジャスコだよ」。さらに桃子。「だって、ジャスコってスーパーじゃない」▼桃子の疑問は、ストレートにいわき市民にも向けられている。「デパートのないいわきの人たちはどこで買い物をするんだろう?」。それは「どうして現状で満足してるの?」という、地方都市への素朴な投げかけでもある▼「規則がいやで族になったくせに、ここでも規則かよ。悔しかったら一人で暴走してみろ。群れてんじゃねぇよ。桃子はなぁ、自分の考えを持って自立している立派な人間なんだ。おめぇたちとは、格が違うんだよ」。暴走族グループに掟破りをとがめられたイチゴが叫ぶ。その言葉が、あいまいな言葉を吐いて、ごまかしの日々を送る自分の胸に、ぐさりと刺さった。





絶景

 波はよせ。
 波はへし。
 波は古びた石垣をなめ。
 陽の照らないこの入り江に。

 草野心平の「窓」という詩だ。『絶景』のなかに入っており、1940年にまとめられた。心平は海の見える窓からぼんやりと波を見つめていたのだろう。そして、打ち寄せられた下駄 や藁屑などを眺め、油のすじに着目する。そして、波の行方を夢想し、「億万の年をつかれもなく。/波はよせ。/波はかへし。/波は古びた石垣をなめ。藍や憎悪や悪徳の。/その鬱積の暗い入り江に。」と読む。
 いわきは太平洋岸のまちなので、海から太陽が昇る。だから、初日の出を見ようと、元日は海岸線が大混雑する。心平の生まれ育った小川は、いわきでも山側にあり、海を見ようとすると、車で1時間以上かかる。
 心平は宇宙の営みを感じさせるスケールの大きな詩を読む詩人として知られているが、この、地球や自然の営みと人間の日常を交錯させた詩は、実に心平らしい。寄せては返す波は太陽に照らされ、内海や外洋を行き来する。





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