|
|
新聞販売店の朝は早い。いまなら午前2時(夏は2時半)に、新聞が運ばれてくる。その新聞に前日、束をつくっておいたチラシを折り込み、3時〜3時半には新聞配達に出かける。
新聞に折り込むチラシは1日平均16、7枚、多い時で35枚ぐらいある。以前はみんなで手でしていたが、いまは折り込み機が束を作ってくれる。平字大町の木部新聞店の場合、前日のお昼までにチラシが届けば、翌日の新聞にはきちんと入るという。
このところの不景気でチラシの数は減っている。将来、チラシがなくなるかどうかはわからないが、経済に大きく左右されるため、チラシの置かれている立場は厳しいらしい。 |
| |
|
|
ハリー・ポッターに出てくる「ダイアゴン横丁」のような商店街がいわきにあったら、と思ったりする。狭い横丁は人で溢れ、掘り出し物を探せる店がひしめき合っている。そんな横丁だ。
思えば、少し前のいわきには、ゆったりとした時間が流れていた。万年筆マニアの間では「もうどこにもない」と思われていたモンブランのアガサクリスティーバージョンが、街角のウインドウに発売当時の値段が付いて楚々と置いてあった。しかし、その万年筆店も今はもうない。
街を良く見よう
日比野さんが、みんなに下した指令「コンセプトチラシをつくろう」は、「もっとよく街を見てみよう」ということだった。そして「世の中の常識を取り払って、好きなことをしてみよう。そうすれば見えないものも見えてくるはず」という思いが込められている。
ある飲み会の席で。いわきで一番大きく信頼されている文房具屋さんの屋号が「○○紙店」であることを知った民俗学者が、静かに尋ねた。「地元の手漉き和紙は売っているんですか?」。すると社長が大汗をかきながら答えた。「それがぁ、コストが高いうえに仕入れが安定しませんで…」。
「ダイアゴン横丁」は身近にある
商売って何だろう?、と思う。儲けなければ当然、店が立ちゆかなくなる。しかし、夢を売ることを忘れてしまったら、店は輝きを失う。好きなものを集めて、「どうです。いいでしょう。ほしいと思いませんか。売っているのはうちだけなんですよ」と、さりげなく弱い電流を流しているような、そんな店が好きだ。
日比野さんはワークショップを通して「ダイアゴン横丁はみんなの近くにある」ことを教えてくれた。コンセプトチラシに出てくる商品の数々…。なんて魅力的なんだろう。しかもそれが、手の届く場所に確かに存在している。日比野さんに誘導された参加者たちが、埋もれていた商品を探し出して街に光を当てたのだ。今度は商店主や市民が、自分たちの手で店を、街を輝かせる番だろう。
街は死んだわけではない。眠っているだけなんだ。見ようとしなければ、自分が動こうとしなければ、何も見えてこない―。日比野さんのまなざしがそう語りかけていた。 |
|
|
|