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マサカツは、田人の奥深い大きな森のなかに生まれました。お父さんもお祖父さんも、そのまたお祖父さんも大きな森で木を伐り、畑を耕し、暮らしてきました。大人になったマサカツも生まれ育ったその森で生活はしていましたが、「なぜ、こんな森に自分はいるんだ」と、いつも不満でした。
ところが40歳を少し過ぎた5年ほど前から、森への感情は大きく変わりました。「この森に住んでよかった」と思えるようになったのです。きっかけは、田人に移り住んできた芸術家たちでした。彼らと話をするうちに、身近すぎた大切な存在に気づいたのです。
原生林が広がる大きな森を歩くと、生命を感じます。自然の摂理が神秘さを増し、森は日々、表情もにおいも、音も、光も違います。マサカツはファインダーからその微細な表情を見つめ、シャッターを切った瞬間に自然と一体になる感じがします。
時々、マサカツはお気に入りのブナの大木に会いに行きます。まず見上げ、それから寄りかかると、いつでも元気がわいて、人間にはないパワーを感じます。
「森には神様がいる」。遭遇したことはないけれど、森の精霊たちとの会話を弾ませながら、マサカツはそう思うのです。
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