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 気持ちよく晴れた10月30日、神無月の最終日、自宅近くの上り方面の磐城橋バス停ベンチで、赤井岳や湯ノ岳の方をぼんやりと眺めながらバスが来るのを待っていると、あたかも八百万の神様達が出雲大社から帰路に着くが如く、無数の小さな雲たちがゆったりと流れて行く様がとても気持ちよく感じました。
 余談ではありますが、もともと「和」とは「輪」を囲み「座」を成すことから来ているという事を聞いたことがあります。「大和」の神様たちは今年、どんな「座」を囲んできたのでしょうか?

 立冬も過ぎ、朝晩に寒さを感じます。夏井川に飛来してくる白鳥たちが朝方、鳴きながら旋回しているさまも見うけられるようになりました。今回、ご紹介するドルチェはこの時期に合うような素朴で、何となく温かみや親しみを感じるお菓子「ブディーノ・アッレ・ペーレ」。洋梨の入った焼きプリンです。

 このお菓子の特徴は普段、パスタやパンに用いるデュラム・セモリナ(硬質小麦の粉)を使っているので、少し「もっちり」した感じがあること、エキストラヴァージンのオリーブオイルが入るので「すっきり」したうまみがあることです。
 作り方もシンプル。まず少量の水で、洋梨を食感が残る程度に柔らかく煮ます。次に牛乳、オイル、ヴァニラビーンズ、マルサラ酒(シチリアの甘めのワイン)、砂糖を沸かしたところにセモリナ粉を混ぜて、数分煮た後に卵を混ぜていきます。型にセモリナ粉の生地と煮た洋梨を交互に入れオーブンで焼いて完成です。
 このままでも十分美味しいのですが、店でお客様に出すにはいささかシンプルなので、ボクは少し煮詰めたマルサラ酒を、焼きあがったブディーノにかけて風味をつけます。そして冷やしてから提供しています。しっとり、もっちりした食感に洋梨のしゃきっとした香りと食感、マルサラ酒の日向を感じる熟れた葡萄の風味が良いハーモニーだと思います。

 ところで、いわきの今年最大の話題は、なんと言っても駅前再開発ビル「ラトブ」のオープンです。ボクなりの感想です。
 ラトブを観て外に出た瞬間、不思議な感覚を覚えました。駅前に新しく綺麗な建物が出来た嬉しさと、ポッカリと空いたココロの空洞。
 「ナンなのだろう?」と歩きながら思いました。
 「新発見」が何ひとつナイ。眼や耳に飛び込んできた情報が普段「いわき」の生活において既に足りていることで、「その先」を感じるものがなかった。かといって「いわき」の地域性のある生産物を反映しているわけでもナイ。

 新しく始まった「可能性」をボクは信じます。

(チボ・ディ・バッポ オーナーシェフ)



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