来年四月に第一期オープンする、いわき芸術文化交流館「アリオス」。10日、オープン記念講演「コバケン“炎の第九”コンサート」のいわき市民第九の会合唱団の練習が始まった。それより1週間ほど前にはマスコミ向けの内覧会が開かれた。アリオスの内部を紹介する。
エントランスロビーからエスカレーターで2階に上がると、平市民会館の緞帳画だった棟方志功の「大平和の頌」の陶板がシンボルのようにある。縦2.7メートル、横7.5メートル、ちょうど緞帳の4分の1のサイズ。創立100年を迎えた関彰商事からの贈り物だ。
その陶板のある、天井窓から光が入るカスケードはちょっとした室内楽やパントマイム、弾き語りなどができるアリオスの広場で、そこから大ホール、小劇場、大・中のリハーサル室、スタジオ、建設中の演劇主体の中劇場、リニューアル中の音楽館、パーティーなどができるカンティーネなどに行ける。
大ホールは客席が1705席(最大で1840席)のシューボックス型(長方形)ホールで、ステージから最後列までの距離を短くし、その分、客席を上に積み上げているため、意外にコンパクトで想像していた贅沢な造りではない。
模型実験などをして音響設計を緻密に行い、どの席で聴いても音量感、残響感など音質の差はあまりなく、ホール全体が楽器のように鳴り響くよう造られているという。演劇の上演の際には反射板と吸音幕で残響感をなくし、吹奏楽の演奏でも吸音幕をつける。
空中に浮かぶ印象的な2枚の白い羽根は照明を入れるためのもの。ホールはストラディバリウス色の木の床。ホワイエ(休憩所)の紅葉が床に落ちている雰囲気の赤いカーペットは違和感がある。
小劇場は黒壁の落ち着いた空間。演劇、ダンス、講演会、ジャズコンサートなど、いろんなことができる。客席は230席ほどで階段状になっていて、ステージの下に奈落スペースがあり、ベニヤ板を外すと簡単に平場になる。
大ホールのステージと同じ大きさの大リハーサル室、それより50平方メートル小さい中リハーサル室。カスケードの壁の不規則な出っ張りは4室のスタジオで、練習する風景が見られる。
劇場は移動式の客席ユニットで、ファッションショーや能舞台などさまざまなステージがつくれる。客席も400席〜700席ぐらいまで増減できる。音楽館1階の小ホールは室内楽専用で、客席は200席ほど。演奏者の息づかいまで感じられる。
内覧会ではまだ冬眠中のような表情をしていたアリオスだが、10日の市民第九の会合唱団の初練習日には目が醒め、動き出しそうな気配だった。人が集い、動いて、建物は生きる。市文化センターの大ホールも500席の音楽ホールに改修されるなかで、それぞれの施設を市民がどう使い、生かしていくのだろう、と感じた。 |