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 「これから穂が出てくるやつが一部の望みだが、おそらくダメだろう。稲刈りになるのか、藁刈りになるのか、穂が垂れる9月半ばにならないと、はっきりしたことはわからない」。低温と日照不足が続いていた8月20日、三和町中寺で農・林業を営む田子英司さん(48)を訪ねると、稲の生育状況をそう話していた。それから1カ月半を経た10月3日、稲刈りの準備で忙しくしている田子さんを再び訪ねた。


 田子さんは今年、黒米を50アール、ミルキープリンセスを18アール、腎臓病患者向けの春陽を46アール、コガネモチを22アール作付けした。実りの秋を迎え、穂の感じから黒米は例年の3分の1、春陽は半分以下、ミルキープリンセスとコガネモチはまずまずと見ている。
 黒米が出穂したころ、天候は一番悪かった。ずっと低温と雨が続き、花はいつ咲くのか、咲いたのかもわからなかった。「これは全滅」と思っていたところ、車の音でスズメが黒米の田から飛び出してきた。穂の数粒をつぶしてみると、白い汁が出た。田子さんは慌てて、スズメ追いを田に張り巡らした。「長いこと百姓をしていて、スズメにたかられて喜んでいたのは初めて」と言う。
 状況は品種によって違う。開花・結実がほかより早い早稲種は温度を基準に出穂するため、影響が大きかった。逆に、温度に鈍感で太陽の光によって出穂する晩稲種は、天候が後半持ち直したこともあって、稲刈りの時期は少し遅くはなったが、ほとんど影響を受けなかった。
 もみすりをして袋に入れてみないと、確かなことはわからない。もみ漁はあっても、グレーダー(玄米の大きさを編み目でわける)で選別してみると、くず米が多いかもしれない。精米して炊いてみて、おいしいのか、おいしくないのかもわからない。
 それでも、夏にこたつを出した平成5年より状況はいい。田子さんは自分の田んぼの収穫量を例年の半分、とれないのだから米の値段は高くなるだろうと予想している。




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