日々の新聞

545号
2025年11月15日

   白日の下にさらされた闇

 いわき信用組合が調査を依頼していた特別調査委員会の報告書が10月31日、やっと公表された。そこには、再三にわたる反社会的勢力への支払いや不当な融資の実態が赤裸々に綴られていて、読み進むにつれて深いため息が出た。
 「反社会的勢力」とは、脅しや暴力によって不当な利益を得ようとする集団のことで、いわき信用組合は20年もの間、さまざまな反社会的勢力に「口止め」名目で莫大な資金を渡し続けてきた。それは、わかっているだけでも十億円に上るという。
 不自然な金の流れを外に漏らさないためにさまざまな策を講じ、ごく一部の職員だけが知る極秘事項にした。その中心に2004年から理事長(22年からは会長)を務め、昨年辞任した、江尻次郎さんがいた。観念したのだろう。江尻さんを含む関係者たちは資金提供に至った経緯を語り、その場面まで明らかにした。

 自治体や企業の不祥事を追及する雑誌の関係者から「過去の不正を暴く」と脅かされて金を要求され、郡山まで1億5000万円を運んで渡したこと。大口融資者の1人で「右翼の街宣活動を止めてやる」と言って金銭を要求し続けてきた男性と公園で待ち合わせ、車に乗り込んできたその男に江尻さんが「これで最後だからな」と1億円を渡したことなどが、関係者の証言として記されている。
 どうして、そうした腐れ縁を断ち切ることができなかったのか――。度重なる街宣活動と不当な金銭要求。内部での資金調達が難しくなると、知人に水増し融資をして優良物件のビルなどを買わせ、時期を見計らって売ったり、キックバックを求めたりした。そうしたさまざまな不正が漏れて脅迫され、また金を要求されるという悪循環。負の連鎖は泥沼のように続いた。
 ある公安関係者によると、「街宣活動を止めてもらいたい」「脅されて多額の金を要求されている。何とかして」と警察に相談に来る企業は、ほとんどない。内輪の恥をさらしたくない、という思いが強いからで、金を渡して泣き寝入りするケースが多いという。いわ信の場合も、すべてを明かして出直す勇気があったら、こうはならなかった。トップの座への執着、引き際の誤りが、結局はSNSへの投稿という内部告発がきっかけで、隠し続けてきた闇を白日の下にさらすことになった。
 「どうしてこんな事になったのか? それはある意味、企業風土なんです。していることが間違っていると思っても、物申すことができない。率直に『それはおかしいですよ』と言う直言居士は外されてきましたから。経営者の犯罪という面は大きいと思います」と、元職員は言う。
 市民にとって、一番身近で頼りになる信用組合の不祥事だけに、思いは複雑だ。でも再生を願う声は多い。

 特集 いわき信用組合と反社会的勢力

 


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