

| 「KAIKON PROJECT」のこと |
告白します。私自身、自分がこれまでにいくつの作品を制作したのかを把握していません。1000なのか? 2000なのか? 5000なのか?、1万の可能性もあります。私の場合、ドローイングとか、インスタレーションとか、ライブペイントとか、立体作品とか、形態も様々です。
自分のアトリエ以外、旅先とかでも描くことも多いです。最近だとフランスでのアーティストレジデンスで50作品ほどを制作。数年前に砂漠に出かけた時には百作品ほどのドローイング。シベリア鉄道に乗った際にも車中から百枚ほどのドローイングスケッチ、海に潜った時も100mのドローイングを2作品、随分前には週刊誌の表紙を3年間ほど、舞台美術で幕絵などを50枚とか100枚とか。そんな制作活動を40年間続けていると、自分自身の作品がいくつあるのかが把握できないという状況になるのです…。
これまでに何度か「アーカイブをしよう」と取り組んできていて、主だった作品(作品集にした作品とか、展覧会に出品した作品)はおおよそ整理できているのですが、それは私の活動の半分くらいのような気がします。そこで、始めたのが「KAIKON PROJECT」です。
私の作品倉庫に眠っている箱に入ったまましばらく開けていないものたち、旅先で描いたスケッチがカルトンに入ったまま梱包されているものたち、雑誌の表紙とか広告のビジュアルに使用した後に撮影スタジオから返却されてきた状態のままになっている作品たちを、開梱して作品目録を作成していこうというプロジェクトです。
それを行った場所は八戸市美術館。第四世代美術館と称されるこの美術館にはジャイアントルームという市民交流を目的とした巨大空間があり、ファーマー(農夫)と呼ばれるアートコミュニケーターたちがいます。「市民とともに開梱(開墾)しよう!」というわけです。
作品を扱うには学芸員の資格が必要になってくるのですが、ちょっと敷居をゆるくして、学芸員の指導のもとファーマーたちが半年かけておおよそ600点の作品をKAIKONしました。その中には全長30mの野田秀樹の劇団夢の遊眠社の最終公演「ゼンダ城の虜」の舞台美術の幕絵も六本ありました。野田さんも見にきて「甦るね! あの時の記憶が!」。その幕絵はラストシーンのものでした。
その演劇の最後のセリフ「少年はいつも動かない、世界だけが沈んでいく」。人の歩みは1つの舞台みたい…。
(アーティスト)
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