

| 文化的処方のこと |
文化的処方とは、文化活動と関わることにより、心身とも健康に人生を送ることができる生き方を表す言葉です。岐阜県では岐阜県美術館を中心に、東京藝術大学とこの考え方を実践しようとしています。これからフランスのフォンフロワド修道院という文化施設をお手本に、様々なプログラムを立てていく予定です。
文化とは、その土地の風土・歴史、人々の日々の営みから育まれてくるものです。人々の命の証として情緒があり、情緒の先に思考、慣習、生活が生まれていきます。フォンフロワド修道院の一室に、絵が飾ってあります。その絵には、この土地での記憶、思い出が風景とともに描かれています。ギャラリーの周りには植物園、レストラン、ワイナリー(これらの収益が文化施設の経営基盤となっている)があり、広大な葡萄畑が広がっています。
修道院という文化施設を訪れる人々は、来る道中から「その絵がどうして生まれたのか」という情緒の準備が形成され、その思考を深めていく時間を文化施設で過ごしていくこととなるのです。
その絵の作者はルドン。岐阜県美術館には300点を超えるルドンの作品があり、世界でもトップクラスのコレクションになります。この作品を、岐阜県美術館で文化的処方を伝えてくれる処方箋として捉えようとしています。ルドンの絵を鑑賞するだけではなく、ルドンの絵を通して、フォンフロワド修道院が持つ絵が生まれてきた背景を紹介することにより、ルドンさんの生き方と土地の関係性が持つアートの「生きる力」を、伝えていこうと考えています。
岐阜県美術館がある岐阜市の地域には、朝食を喫茶店でする「モーニング」という習慣があります。美術館と隣接している図書館のレストランではこのモーニンング文化を四月から始めました。そして美術館の庭では木々、植物と接するプログラムをアートコミュニケータ(アートの魅力を来館者とともに実践するプレーヤー)とともにその環境を整えています。作品と地域と習慣を連続して文化として捉えるというこのルドンが教えてくれたプレゼントを「ギフトルドン」と名付けて、これから発信していきたいと考えています。
(アーティスト)
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