日々の新聞

447号
2021年10月15日

  

何に一票を投じますか

 衆議院選挙が10月19日公示、31日投開票に決まった。岸田内閣が4日に発足したばかりだが、14日には衆議院が解散された。慌ただしい選挙戦になる。双葉郡といわき市がエリアの福島5区は野党候補が一本化されることになり、自民党現職の吉野正芳さん(73)と共産党新人の熊谷智さん(41)との一騎打ちになることが決まった。有権者にとってまた、悩ましい選挙になる。
 
 国政選挙である。小選挙区である以上、政権選択の選挙になる。しかし、なかなかそうはならない。与党か野党かではなく、地元密着型の候補者同士の戦いになり、よほどのことがない限り、保守系の政権政党候補者に軍配が上がる。そうした浜通り地方の保守地盤、体質が原発の誘致や建設を進めてきた。
 しかし、「待てよ」と思う。わたしたちは10年前、東日本大震災と原発事故に見舞われ、それ以前とはまったく違う生活を強いられている。原発の爆発によって山が放射性物質で汚染され、いまだに山菜やきのこを食べることができない。海も事故直後の高濃度放射性物質の流失で、長い間、漁が制限されてきた。それが、ようやく試験操業から本格操業へと舵を切ったというのに、トリチウムなどを含む汚染水を海に流すという。アンケートでは過半数をかなり超える県民が流すことに反対しているというのに、思いを選挙で反映することができない。それが大きなジレンマになっている。
 原発事故のあと、当時の民主党政権は脱原発の方針を明確にし、ドイツのメルケル首相は原発ゼロに向けてすぐ動いた。しかしその後、自民党政権に戻り、事故をなかったことにするかのような、揺り戻しが起こった。今回の自民党総裁選でも「脱原発」という言葉さえ使えず、論争は脇に追いやられた。原発事故のリスクを日常的に感じている身としては、納得できないことが多すぎる。

 10日の日曜日、晴天の海岸線を走った。夕方近かったが、豊間や江名の岸壁では多くの家族連れが釣りを楽しんでいた。屈託のない子どもたちの姿を見ていると、この子たちの未来を考えざるを得ない。いま、政治で何を優先すべきなのか。わたしたちは何に1票を投じるべきなのか。政治と国民の意識が大きく乖離しているいま、さまざまなものにとらわれず、まっすぐに権利を行使したい。

 特集 このにねん 台風19号被害