| 紙面を読んで From Ombudsman | 559号 |

松崎 慎介
第555号の、「いわきのイワナに基準値超セシウム137」の記事が目に留まった。
私自身、結婚や仕事の都合で6年ほど前に東京からいわきに帰ってきました。震災当時は東京にいて、実家のいわきに帰る度に目に見えない、ニオイもしない放射性物質に相当の抵抗がありました。「将来はいわきには住めないな」と思っていました。
しかし、日が経つにつれ、いわきにもなんとなくの日常が戻ってきた頃くらいから、周囲の様子を見て「もう大丈夫なんだなぁ」と慣れてしまい、正直今となっては、あまり気にしなくなってしまいました。そんなときに、イワナの採捕自粛と発表が出たことには驚きました。
2、3年前のことですが、国道49号線沿いのとある食堂に立ち寄った際、「近くの山で採れたタケノコをもらったから、これサービスだよ」と、タケノコの土佐煮をお皿にこんもりと出してもらったことがあります。「確か、いわきのタケノコは出荷自粛では…」と食べるかどうかを躊躇しましたが、女将さんの温かさが嬉しかったこともあって食べることにしました。優しい味付けで美味しい土佐煮でした。しかし、家内と子どもには一口も食べさせられませんでした。こういうところが田舎の良いところなのに、「原発事故がなければ」と悔やみました。
放射性物質が怖いから、という理由でいわきに住む決断ができない若い人はたくさんいます。私は長男、ということもあっていわきに帰ることを決め、家内もついてきてくれました。そして、子どもが二人います。放射性物質の人体への影響はまだまだ未知です。私が下した「いわきに帰る」という決断を悔やむ日が来ないことを、祈るばかりです。
今年の8月には、第一回うつくしまトライアスロンinいわきが小名浜の海で開催されます。全国高校生選手権も併催されるようで、全国から人がやってきます。いわきの海水浴場も震災以降、縮小されてしまいましたが、こうした事業を通して、少しでも活気のあったあの頃に戻ってもらいたいと願っています。そして、いつの日か、この広い浜通りの海が安心安全にすべて使えるようになり、賑わいのある浜通りが戻ってくることを切に願います。
(株式会社いわきエイジェンシー取締役)
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