オンブズマン

 紙面を読んで From Ombudsman565 

 

画・松本 令子

 

 上野 太朗

 1年と3カ月前、僕はデジタルPR・動画クリエイティブエージェンシーの会社を興した。主な業務はYouTubeのコンサルティングという、いかにも今流行りの「水もの」に手を出した感はある。けれどこれはあくまで入口だ。企業の困りごとがあればその場へ駆けつけ、泥臭くどんなことでもお手伝いしてきた。結果的にクライアントが抱える総登録者数は1000万人を超えたが、正社員といえば僕ひとり。事務所は自宅。20名の業務委託の仲間の力に支えられて成り立っている。仲間たちはまさに精鋭ばかりで、接するたびに自分の能力の低さを痛感させられると同時に、彼らの「主体性」に助けられていると深く実感する日々だ。風が吹いても抵抗すら受けないほどの小さな会社だが、僕たちは僕たちなりの熱量と歩幅で泥臭く現場と向き合っている。

 そんな僕にとって、第五六四号の東日本国際大昌平高校野球部の特集、とりわけ江井康胤監督の「理不尽さに耐えることも必要」「協調・個性」というチーム作りの記事は特別に胸に響くものだった。僕が会社経営で何より大切にしているのは「ひと」だ。同じ技術があるなら、いや多少技術力が劣っていたとしても、人間として「いいひと」に仲間にいてもらうことを最優先にしてきた。どんなに優秀な技能があっても、他者への敬意や、おもんぱかる力を欠けば、組織の調和もクライアントの繁栄も、簡単にストップしてしまうからだ。技術は後からでも磨けるが、滲み出る人柄や主体性は一朝一夕には育たない。だからこそ、球児たちの個性を活かしながら組織を束ねる江井監督の言葉と、僕の目指す組織の姿が(畏れ多くも)強く重なり合ったのだと思う。

 最後に、今回初めて過去の「紙面を読んで」をしっかりと拝見した(ちゃんと学んでから書けよと思われるかもしれません、ごめんなさい)。皆さん豊富な知識と、なにより独自の鋭いオピニオンをお持ちで、第1回を書く前に読まなくてよかったと胸を撫で下ろしている。3回続いた僕の駄文に、雲の上のような存在の方からお褒めのコメントが届いたという。恐れ多い限りだ。これで僕の3回にわたる「紙面を読んで」は終了となる。こんなかんじで良かったでしょうか、安竜さん、大越さん。これからも『日々の新聞』を心から応援しています。最後まで御覧いただき有難うございました。

(株式会社nino代表取締役)



 

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