紙面を読んで From Ombudsman | 419号 |
藁谷 和子
吉田 静江
凌霄は妻恋う真昼のシャンデリヤ 中村草田男
前回の掲載から一カ月が過ぎた。自然の営みは律儀で誠実だ。純白の浜木綿に代わって朱色の花が溢れんばかりに咲いている。粥塚伯正さんが逝った。愛読者の一人だった。平易な言葉で、日常の何気ない場面を描きながら、読者の心の奥深い所を揺さぶらずにはおかなかった、粥塚さんの文章。
連載は「ぼくの天文台」II55で終止符が打たれた。淋しくなった。
第418号は粥塚さんへの鎮魂歌。故人の表情がくっきりと浮かんでくる。これまでもそうだったが、面識が有った方は勿論、粥塚さんのように無かった方でも、ご本人の素の姿が追悼文から立ちあがる。
奇跡にも似た出会いから、互いに呼応し合い育んできたかけ替えの無い歳月。「ああ、私にもある。大切にしよう」と改めて襟を正す。(合掌)
最近、大越章子さんのスペースが増えたようで嬉しがっているのだが——。思いすごしだろうか。大越さんの凜とした中にたおやかさがにじむ文章の世界にも心ひかれる。安竜昌弘さんとのバランスの良さ。曲と直、硬と軟、光と影、表と裏、淡と濃、寒と暖、陰と陽、強と弱。対の語を書きだしたら際限が無い。男と女だけは敢えてさけて——。お二人は、時に立ち位置を変えて紙面に登場する。
「相棒」。テレビドラマで親しまれ、陳腐の感が見えかくれする語句だが、お二人はやはり「素敵な相棒」だと思う。
(いわき市折戸在住)
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