omb430号

 紙面を読んで From Ombudsman430号 

 

画・松本 令子

 小林 一

 1991年から1994年まで3年間、いわきで地域振興整備公団(当時)の職員として、いわきニュータウンと好間工業団地の開発に携わり、日々の暮らしを楽しんだ。バブルが弾けたとはいえ、まだその余韻が残っていたころで、ほぼ同世代だった青年会議所の方々たちと、大いにいわきの未来への夢を語りあい、「いわき七浜物語」としてまとめ上げた。
 彼らの絶大な協力を得ながら、磐女OGの会田和子さんがリーダーとなり、いわきテレワークセンターを創設することができた。今や時代の言葉となったテレワークセンターの地方版の先駆である。そのころ本紙の安竜さんはいわき民報の記者として、私たちの動きも見ていてくださったようで、震災後、神田香織さんはじめ磐女・磐高のOG・OBが設立したNPOふくしま支援・人と文化ネットワークの活動で講演していただいたご縁で再会した。それをきっかけに、旧知の方々の名前も多くみられる「日々の新聞」の読者となった。
 原発事故の被災地いわきについては、未解決の問題が多いにも関わらず、忘れさられそうなところがある。忘れてはならないことは、その背景とともに、しっかり記憶(記録)することが必要だと思う。福島の場合、原発被害という特殊な事情がある分、岩手、宮城に比べ5年くらいの遅れがある。しかし、生身の市民生活からすれば、未来へ向けての新しい動きが欠かせない。そういう意味で、本紙を通して幅広く、再生の力強い息吹や人間の逞しさを感じたり知ることができて、感謝している。
 編集者はもちろん、読者もスポンサーも知った顔なので、FAKEになりえないローカルメディアの大切さを実感する。いわき、福島を広くとりあげ、海外も含めそこで繰り広げられた人々の往来の歴史を掘り起こし、厚みのある紙面となっていることにも、敬意を表する。

(一般社団法人アジアサイエンスカフェ会長・川崎市在住)

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