紙面を読んで From Ombudsman | 435号 |
沼田 哲也
ずっとお隣の茨城で暮らしてきた私が、郡山を手始めにいわきに移り住み、福島での生活も間もなく20年。我が人生の3分の1になろうかとしています。
日々の新聞とのお付き合いもほぼそれに準じてはいますが、読者歴となるとてもとてもイコールとはいかず、「愛読者」と言っては他の方に失礼だし、末端の方に位置していると思います。映写窓から画面を覗いているようなものかもしれません。眺めてはいるけれど、全体を見てはいないというのか。
浜通りという言葉は、郡山にいるときの天気予報で初めて触れましたが、東京に出るときはもちろん同じ常磐線を利用していたわけで、列車の車両プレートで、平、草野、四ツ倉、原ノ町、相馬といった地名は、馴染みのあるものでした。双葉高校の存在も、もちろん高校野球で知っていました。
隣県にいたとはいえ、福島の高校で知っていたのは他に、磐城、学法石川、福島商業といった甲子園常連校でしたね。フリークというほどではないけれど、親戚が集まるお盆には、高校野球中継を見ながらわいわいがやがやというパターンだったので、磐城の小さな大投手・田村、共に細身だった学法石川の遠藤一彦投手、福島商の三浦広之投手あたりは記憶にあります。
双葉高校の甲子園での戦績は詳しくありませんが、「いかにも高校野球」で、強くはないけど、しぶとい、簡単には負けない、そんなイメージがあります。近年の福島は聖光学院の一強、それに日大東北が続くといった戦力図のため、あまり高校野球も見なくなりました。とはいえ、434号の特集における双葉高校の2枚のスナップには切なく、胸が痛みました。得点の欠けたスコアボード、生い茂る雑草が風になびく荒れ果てたグランド、朽ちて「廃墟」のような送迎用のマイクロバスと用具倉庫。10年の歳月は長く、重いと実感しました。
正直、これまで連合チームのことを単なる「寄せ集め」としか見ていなかった私ですが、今年の夏、「相双福島」には注目したいと思います。日々の新聞も追いかけてほしいですね。
(映画館オフィスマネージャー)
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