omb442号

 紙面を読んで From Ombudsman442号 
画・松本 令子

 

 大河原 さき

 「日々の新聞」の定期購読は、1面にカモメが海を見ている写真が載っている去年の9月15日号からだ。毎号、新鮮な驚きと喜びがある。
 直近の7月15日号には、「これ以上海を汚すな!市民会議」主催の、資源エネルギー庁原子力事故収束対策室長の奥田さんとの意見交換の記録が4ページにも渡って載っていた。私が住む三春町でも近隣市町の住民で実行委員会をつくり、7月10日に「原発汚染水の海洋放出について経産省の説明を聞く会」を開催し、オンラインで中継した。私たちの予想を超える県内18市町村から約120名が参加した。4月13日に政府が突然汚染水の海洋放出を決定したが、一般県民には説明も何もない。そのことに不満と怒りを持つ人がこのように大勢集まったのではないかと思う。
 実行委員会としては、詐欺的な科学論争で被害者を煙に巻く経産省の土俵に乗らず、こちらの土俵に経産省を引きずり込むためには、被害当事者の論理で質問を組み立てようと準備した。そして、原発事故の加害者である国が、被害者である県民の7割が拒否しているにも関わらず、さらなる被害を生む海洋放出方針を理解しろと強要する被害と加害の構図を、この説明会で可視化したいと思った。前者は、時間的な制約もあって十分な準備をすることができなかったが、経産省主催で説明会の検討をするという言質がとれた。後者は、大勢の参加者が会場から発言し、誰も放射能汚染水の海洋放出を望んでいないこと、また経産省が十分な論議の末に海洋放出を決定したというのが嘘であると暴露する人もいて、冒頭から奥田さんが「風評」と言うたびにヤジを飛ばし「風評でなく実害だ」と叫ぶ富岡町からの避難者によっても可視化されたと思う。
 経産省説明会、三春だけに終わらせず各地に広げ福島の声を突きつけたい。

(三春モニタリングポストの会)

 ※三春町で開かれた「原発汚染水の海洋放出について経産省の説明を聞く会」は YouTube(https://www.youtube.com/watch?v=a0bvN8Jmgbo)で聞くことができる。

 

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