紙面を読んで From Ombudsman | 454号 |

玉手 匡子
「日々の新聞」には毎日手にする新聞と違い、日が経っても中身は旧くならず、保存しておきたい内容がちりばめられている。
昨年11月6日、小川町の「いわき市立草野心平記念文学館」で吉野せい賞記念講演会があり、女優の秋吉久美子さんが講師を務めた。
吉野せい賞運営委員会委員の1人として、超多忙な彼女が引き受けてくださったことは嬉しかった。約90分に及ぶ講演内容は、彼女と委員の1人である斉藤貢氏による対談形式で行われた。対談の前半は「吉野せいのこと」、後半を「女優という人生」について語った。
ご両人は学生時代、磐城女子高校の文芸部と磐城高校の文学部に所属し、半世紀に及ぶ交流があり、現在も詩作を通じて活動されているので、にわか仕立ての関係ではなかっただけに、中身の濃いものとなった。
当日はコロナ禍のために人数制限がなされ、幸いにも当選した約50名とともに、詩囊豊かな彼女の魅力を引き出した斉藤氏の力量に浸るという幸せを味わった。
後日、講演の内容を知るために令和3年11月15日(449号)と30日(450号)の「日々の新聞」を読んでみると、記者の感性と筆力に敬服した。抽選に漏れた人々よ! 是非、この記事を読んでほしい。落選したことを恨めしく思った気持ちは、一遍に払拭するはずだ。あの時の感動を文字に表現してくれたお陰で、何度でも2人の対談を味わうことができる。まさに活字の底力に感服。
これも歴史を重ねた「日々の新聞」の魅力だろう。齢を重ねるとつい2、3分前のことさえ忘れてしまうのだが、「日々の新聞」をもう1度広げて、何度でも感激に浸るという幸せを享受したいものだ。
(いわき市図書館アドバイザー)
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